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体温が低いと「うつ」になる・・・?

2011 - 08/16 [Tue] - 17:42

館林のデータでは、9日連続で猛暑日が続いております。
今日も猛烈な暑さで、
わが家のデッキの温度は午後1時現在、40℃を指しています。 (*_*)
ただし、「FPの家」の中は室温27℃、湿度60%と別世界。
設定温度27℃のドライ運転でこんな快適な状態になるんですから、
ホント、ありがたいことです。
健康な方ならいざ知らず、
妻にとって快適な室内環境は何物にも勝る【良薬】なんです。

というのも。
化学物質過敏症(MCS)の妻は体温がとても低い。
平熱が35.5℃程度しかありません。
低体温症(hypothermia)というほどではありませんが、
日本人の平均が36.5℃だそうですから、
低めの体温であることは間違いなさそうです。

そのせいか、体温調節が上手にできないようです。
暑いのは苦手なんですが、
そうかといって、冷房でガンガン冷やしても体調をこわします。
室温27℃、湿度60%というのは、
暑すぎず冷えすぎず――というちょうど良い環境なのです。

もちろん。
体温が低めということですから、
冬の寒さも身体によくない――
妻はとても寒さに弱いのですが、
これに関連してとても興味深いデータがある。
アメリカで4000人の自殺者を追跡調査した結果、
全員が低体温だったことがわかったというのです。
出典が確認できなかったので事実かどうかわかりませんが、
あり得ないことではないと推測しています。
というのも。
うつ病の患者さんには低体温の方が多いといわれているからです。

そこで今回のテーマ。
体温(body temperature)について考えることにしましょう。

一口に体温といっても、
大きく深部体温(core温)と皮膚体温(shell温)に分けられます。
皮膚体温は外気温に応じて変化しますが、
身体の中心部(core)の温度は約37℃で一定しています。
これは内臓機能を維持するためで、
特に温度変化に弱い脳の温度を一定に保つことが、
体温調節メカニズムの主要な目的と考えられています。

ただし。
深部体温も不変ではありません。
規則的な日周リズムを刻むことがわかっています。
大雑把にいえば、
早朝3~6時頃に最も低くなり、反対に日中の3~6時頃に最高となる。
その変動幅は0.7~1.2℃だそうです。

図をクリックすると拡大します
hibernation-6

ここで思い出していただきたいのが、
以前紹介した生物時計です。
あらゆる生物活動には内因性リズムがあり、
人間の場合には約25時間周期のリズムを持っていました。
この【時計】によって刻まれる規則的リズムが概日リズムというものですが、
体温にもまた概日リズムが存在するということがわかります。

それでは。
どうして体温が日内変動するのか?
そこで、次の図をご覧ください。
これは2009年に理化学研究所がプレス発表した研究成果で、
そのタイトルは……
  ■ 植物概日時計とミトコンドリア機能の蜜月な関係を発見
高等植物におけるミトコンドリアの活動が、
生物時計に支配されていることを明らかにしました。

図をクリックすると拡大します
hibernation-7
植物の時計遺伝子はいまだ明らかにされていません。
ただその有力候補と目されているのが PRR ファミリーというもので、
中でも、PRR9、7、5 の三重欠損体では概日リズムが消失することがわかっています。
そこで研究では、シロイヌナズナの三重欠損体の代謝物を広範に解析し、
時計遺伝子の出力系を明らかにしました。

図を見てお分かりいただけるように、
概日リズムを失った植物では、
光条件、時間条件にかかわりなくクエン酸回路の構成物質群が劇的に増加します。
この事実を裏返せば、
ミトコンドリアの活動が生物時計の支配下にあることがわかるでしょ?
さらに興味深いことに、
三重欠損体は低温ストレスに対して高い耐性を持つそうです。

もちろん、これは植物でのお話ですが、
動物においても同様の事実が明らかにされている。
例えば。
概日リズムに異常のあるマウスは、
ミトコンドリアの機能にも異常が生じて糖尿病や肥満になるらしい……
もしかしたら、
そういうマウスの体温は低いのではないか?
ミトコンドリア機能の低下が低体温の原因――私はそう推測しています。
というのも、熱はミトコンドリアで発生するからです。

ミトコンドリアは、ATP というエネルギーを合成する小器官です。
ただし食物中のエネルギーが全て ATP に変換されるわけではなく、
変換効率は最大でも40%程度といわれています。
その他は熱として放出されますが、
ATP も最終的には熱となります。
ところが熱を蓄える術を生物は持っていないので、
熱はいわば【廃棄物】というわけ。
でも、生物はこの【廃棄物】を上手に有効活用した。
それが体温というものなんです。

中でも、哺乳類は体温を一定に保つ高い能力を有しています。
その源はミトコンドリアの圧倒的な多さで、
肝臓や心臓などに爬虫類の実に5倍以上のミトコンドリアを“搭載”している!!!
ただ注意していただきたいのは、
恒温性の哺乳類と変温性の爬虫類とで、
活動時の体温に違いはない――という点です。

そればかりか、
あらゆる生物の活動時体温はほぼ同じだといわれています。
その温度が、実は37℃なんです。
どうして体温は37℃でなければいけないのか?
その理由の一つが、酵素活性の問題です。

図をクリックすると拡大します
hibernation-8

生命活動は無限の化学反応の連鎖によって営まれていますが、
この反応を触媒するのが酵素というものです。
この酵素の活性は温度が高いほど高い。
つまり、化学反応のスピードが増大します。
ただし40℃を超えるとスピードが鈍り、
多くの酵素が60~70℃で失活します。
というのも、酵素がタンパク質だからです。

ということは。
酵素活性を最大に引き出して、生化学反応のエラーを最小限に抑える。
そのために最適な温度は……
37℃程度が best だということがわかるでしょ?
しかし、理由はそれだけじゃ~なさそう。

生命にとって ATP は多ければ多いほど良い――はず。
ところが、奇妙なタンパク質が1979年に発見されました。
それが脱共役タンパク質(uncoupling protein)というものです。
略して【 UCP 】と呼ばれていますが、
その機能は ATP の合成を抑えることでした。

ATP は電子伝達系によって汲み出された H が、
ATP合成酵素を駆動することによって合成されます。
詳しい話を知りたい方は、
右上の検索フォームに【電子伝達系】とでも入力してみてください
ここでは先を急ぎましょう。
ATP の合成で重要なのは、
電子伝達系とATP合成酵素が連動するという点です。
これを共役(coupling)というわけ。
ところが。
UCP は H をマトリックス側に戻してしまう特異なチャネルで、
その際、H の持つ自由エネルギーが熱として放出されます。

図をクリックすると拡大します
hibernation-9

不思議じゃございませんか。
なんで、わざわざ ATP の合成を阻害するような仕組みがあるんでしょう?
近年になって、UCP にも様々なサブタイプがあることがわかってきました。
例えば、骨格筋のミトコンドリアには UCP3 があります。
そしてその機能は、過剰な活性酸素の発生を防ぐことらしい。

つまりこういうこと。
電子伝達系には活性酸素というリスクが伴います。
そこで過剰な ATP が産生されているときに、
UCP が余分な H を逃がします。
いわば、エンジンをアイドリング状態にすることによって、
活性酸素の発生を最小限に抑えるわけ。
その際に熱が放出されるわけですが、
結果として、それが37℃だった――
生物にとって37℃という体温は、
利益を最大化しリスクを最小化できる温度らしいのです。

さらに。
脱共役によって放出される大量の熱を、
哺乳類は無駄なく再利用しました。
それが UCP1 というもので、
この UCP1 こそが最初に確認された UCP なんです。

UCP1 は冬眠動物の褐色脂肪細胞(brown adipose tissue)から発見されました。
褐色脂肪細胞は通常の白色脂肪細胞とは異なり、
その名の通り褐色の細胞です。
ヒトの場合、首回り・肩甲骨下部、あるいは心臓や腎臓の周りに集中して存在し、
ミトコンドリアを豊富に含んでいる特殊な細胞です。

ただ【脂肪細胞】といっても、白色脂肪細胞とは起源が異なります。
2008年に『Nature』に発表された論文によれば、
褐色脂肪細胞は筋細胞と同じ幹細胞から分化するらしい。
脂肪を蓄え肥満の原因となる白色脂肪細胞に対し、
脂肪を燃焼して ATP を産生するのが筋細胞で、
ATP ではなく熱産生に特化したのが褐色脂肪細胞――ということなんでしょう。
そこで褐色脂肪細胞は、
寒冷順応に非常に重要な役割を果たします。

図をクリックすると拡大します
hibernation-10

急性寒冷曝露に対し、ふるえ熱産生という反応が起こります。
その名の通り、ぶるぶる震えるわけですね。
何が?
もちろん筋肉です。
すると筋肉が活動するわけですからミトコンドリアが活性化する。
結果的に熱産生が亢進するでしょ?

でも、寒いからっていつもぶるぶるしているのは困る。
行動が制約されてしまうからです。
そこで慢性寒冷曝露に対しては、非ふるえ熱産生という反応を起こします。
その主役となるのが褐色脂肪細胞で、
UCP1 を利用して大量の熱を産生するというわけ。
その熱は血液を温め、
温かい血液が全身を循環することによって深部体温を寒さから防御します。
いってみれば、温水ヒーターのようなものなのです。

つまり。
体温とミトコンドリアの機能は密接に関係している。
そこで基礎体温が低いということは、
ミトコンドリアの機能が低下している――と考えられないでしょうか?
そうなれば、ATP 産生も低下しているということですから元気も出ない。
それが、うつの一因となるのではないか?
高齢者にうつが多いことも、
加齢によるミトコンドリアの機能低下――が原因なのかもしれません。

最後に。
ミトコンドリア、ひいては UCP1 の機能が低下するとどうなるか?
紹介しておきましょう。
国立長寿医療センター研究所の山下均先生は、
UCP1 を持たない UCP1-KOマウスを低温環境に置いてみました。
野生型マウスは寒冷耐性を持ち、
低温環境下(4℃)でも生存可能でした。
ところが、UCP1-KOマウスは低温環境下では急速に体温低下をきたし生存不可――
死んでしまうのだそうです。
しかも、温和な室内環境(23℃)でも差が出た。
UCP1-KOマウスは末梢血管を強く収縮するというのです。
恐らく、熱産生機能の欠如を補うため、
体表からの熱放散を常に抑制しようとするメカニズムが働くのでしょう。

ただし、ヒトにもあてはまるのか?
新生児には褐色脂肪細胞が豊富ですが、
成人からはほとんど検出されませんでした。
そこで褐色脂肪細胞の生理的意義は疑問視されてきましたが、
近年になって、成人にも存在することが実証された。
しかも、男性より女性に多く
老年者より若年者に多いという傾向があるようです。
さらに寒冷曝露によって急速に褐色脂肪細胞が誘導されることから、
ヒトにおいても重要な役割を果たしていると考えられるようになってきたようです。

では、UCP1 の働きが悪い方はどうすれば良いのか?
体温調節には、自律性調節と行動性調節という2つの方法がございます。
自律性調節とは無意識に行われるもので、
ふるえ熱産生や非ふるえ熱産生がこれに該当します。
血管を拡張したり収縮したりするのもそうですし、
暑ければ汗をかくのも自律性調節です。

一方、行動性調節とは意識的に行われるもので、
寒ければ日向に移動し、暑ければ木陰に移動するというものです。
ヒトの場合にはさらに多彩な行動性調節を行っており、
着衣で体温を調節し、
部屋を冷暖房することで体温調節を行う――んじゃございませんか?
先ほどの山下先生の研究でも、こんなことがわかっている。
UCP1‐KOマウスも温和な室内環境なら生きていくことができるそうです。

さてさて。
冷暖房を贅沢としか考えられない方もまだまだ少なくないようです。
しかし、高齢者や体力の衰えた方々にとっては、
快適な室温を維持することは何物にも勝る【良薬】なんです。
病院が節電――なんてもってのほか。
私の妻も、暑さ寒さに弱い。
だから私の家ではエアコンをフル稼働して、
今日も室温27℃、湿度60%に維持しています。

人様に何と言われようと、これだけは絶対に譲れません。



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脱原発って、ホントにできるんですか?

2011 - 07/29 [Fri] - 03:33

こんにちわ。
何ヶ月も更新がはかどらなかったので原稿がたまってます。 (+_+)
でもその前に、
大震災にまつまる問題をもう少し考えてみたいと思います。

わが家では冷暖房は必需品です。
実は大震災のときに蓄熱暖房機が倒れてしまい、
暖房のない生活を余儀なくされました。
おかげで、とても寒かった。
はじめてです。
室温が10℃を下回ったのは……

そのせいなんでしょう。
妻がこれまでにない体調不良に陥りました。
というのも、妻は【おばあちゃん】だからです。
もちろん、実際の年齢はもっと若いですよ。
ただ眼の曇りが激しいというので医者に行ったら、
飛蚊症(ひぶんしょう)と診断されました。
この飛蚊症というのは、
ガラス体の濁りによって目の前に虫が飛んでいるような映像が入る現象です。
加齢現象の一つで70歳を超えるとほとんどの方がなるそうで、
強いて[病気]とはとらえられておりません。
そこで、妻はお医者様にこう言われたそうです。
  まるで70歳の人の症状ですね――
それ以来、妻は「私は70歳なんだって!!!」といじけております。

そんな【おばあちゃん】の健康を維持するには、
冷暖房は絶対に欠かせません。
蓄熱暖房機は新しいものに買い換えました。
ただ2台とも倒れてしまったんですが、
買い換えたのはとりあえず1台だけです。
その代り冷房しかできないエアコンを2台交換したので、
エアコン暖房で補ってみようと考えています。
とても大きな出費となりましたが、
冷暖房が生命線なんだから仕方ございません。 トホホ

とはいっても。
蓄熱暖房機にしろエアコンにしろ、いずれも電気がないと動きません。
そこで電力不足はとても困る。
だから私は……、脱原発(denuclearization)を主張しません。
原子力は好きじゃない。
でも、その必要性は認めようと思うのです。

こんなことを書くと非難されるとは覚悟していますが、
ぜひ冷静に読んでいただきたい
私だって原発に頼らずに生きられるならそれに越したことはないと思う。
しかし現実問題として、
果たして日本で脱原発が可能なんでしょうか?
ある方はこういいます。
再生可能エネルギーをもっと利用すべきだ――
また、こうおっしゃる方もいます。
原発を全て停止しても電力不足にはならない――
そして、決まってこう切り出す。
ドイツを見習いなさい――
それなら、ドイツの原発事情をちょっと調べてみましょう。

図をクリックすると拡大します
nuclear power-1

このグラフは、2010年のドイツの電源別構成比です。
ドイツというと太陽光発電というイメージを持っている方もいるかと思いますが、
実際には風力発電に力を入れており、
しかも今後は北海での海上風力発電所の建設を推進していくようです。
ただそれはあくまでも計画段階で、
今現在、再生可能エネルギーの占める割合はわずか16.5%に過ぎません。
それに比べ原子力は22.6%を占めている。
そのドイツが、脱原発を本気でやろうとしている。
ちなみに、次のグラフもご覧ください。

図をクリックすると拡大します
nuclear power-2

こちらはちょっと古くなりますが、
2002年の主要各国の電源別構成比を比較したものです。
原子力の占める割合に注目すると、
日本とドイツはほぼ同じじゃありませんか?
ということは……、日本だって脱原発が可能!!!

では、本当に可能なんでしょうか?
答えを先に言いましょう。
可能だと思います。
再生可能エネルギーは原子力の代替エネルギーとなり得るでしょう。
しかし、問題がないわけではない。
原子力に依存しない場合、
温暖化対策が後退する――懸念があるんです。
そこで脱原発先進国のドイツの実情を、
もう少し詳しく調べてみましょう。
というわけで、本日の本題です。

フクシマの衝撃を受け、
6月6日、ドイツのメルケル政権は脱原発を閣議決定しました。
国内に17基ある原発を2022年までにすべて閉鎖し、
再生可能エネルギーを中心とした電力供給に転換するというものです。
続く6月10日には脱原発を高らかに宣言し、
2050年までに全エネルギー消費の60%、電気使用のナント80%を、
再生可能エネルギーで賄うと演説しました。
そこで……
  ドイツは脱原発に動き出した――
そう大きく報じられたのをみなさんもご存じでしょう。

nuclear power-3

しかし、それは正確ではない。
正しくいうならば、
  この機を逃さずドイツは脱原発にUターンした――
そういうべきでしょう。
というのも。
ドイツが脱原発の方針を掲げたのは、今回が初めてではございません。
2000年、社民党と緑の党の連立政権は、
電力会社大手と歴史的な合意に達しました。
当時稼動中だった19基の原発を2022年までに全て廃止し、
しかも新しい原発はもう建設しないというものです。
今回の決定と同じじゃありませんか?

ところが、その後ドイツに政権交代が起こった。
原発容認のキリスト教民主同盟が政権に返り咲いたんです。
それが現在のメルケル政権ですが、
反原発の社民党と大連立を組んでいる間は脱原発合意が維持されました。
ただ2009年に社民党が政権を離脱するや雲行きがにわかに怪しくなり、
翌2010年秋、ついに原発の稼働年数を延長する法案が可決されたんです。
理由はというと、
  再生可能エネルギーの普及が思ったように進んでいない――
そこで電力不足を防ぐため、
まだ稼働中の17基の原発の平均寿命を12年間延長しようとしたわけ。
去年の秋のことです。

しかし、この政策転換は国民の猛反発を食らった。
まじで国民が怒った。
メルケルが「まずい」と気付いた時にはすでに手遅れで、
彼女はどうやって政権にとどまろうかと考えあぐねていた。
そんなときにフクシマの惨劇が起こったわけ。
これを利用しない手はないわ――
どこぞの総理大臣も、彼女の「成功」にあやかろうとしてませんか?
ホント、みっともないです。 (*_*)

まぁ、そんなことはさておいて、
メルケルの“英断”を称賛する声がある一方で、
電力不足を憂える声があるのも事実です。
ドイツは冬が寒い。
電力使用のピークは冬です。
そこで今年の冬、ドイツは電力不足に見舞われるだろうという指摘もあります。
ドイツ連邦ネットワーク庁のケルト長官はこう警告しています。
  どう決定しようが自由だ。
  しかし、自分たちが何を決定したかを知るべきだ。
身内のキリスト教民主同盟内からさえ批判の声が上がり始めている。
  原子力に代わる新たな電力源で、
  将来をカバーできるという安易な印象を与えるのは良くない。
しかし、こういう冷静な意見をマスコミは紹介しない。
放射能の危険を訴えた方が好評となれば、
脱原発の方が”儲かる”んだから仕方ございません。

しかも再生可能エネルギーを推進するためには、
今後10年間で約25兆円が必要だという。
当然のことながら、それは電気代として国民に跳ね返ってくるでしょう。
ところが、電気代が大きく上がるであろうことはあまり取り上げられない。
多くのドイツ国民が、
大いなる理想の実現に陶酔しきっているかのようです。

そこで、現実を直視してみましょう。
参考にさせていただくのは次の論文です。
  ■ 脱原子力の経済的帰結―ドイツの事例― 
脱原発合意の後、ドイツの電力供給がどうなったかを分析しています。
そこで2000年と2006年の電力供給量を比較すると、
原子力は1.4%減少し、
代わりに再生可能エネルギーは79.3%という大きな伸びを示しています。
しかし、電力供給の全体量も11.4%増加しており、
原子力の減少を差し引いた再生可能エネルギーによる供給増は、
その半分程度を賄えたに過ぎないこととなります。
では、不足分は何で補ったのか?

答えは、石炭です。
しかもドイツの埋蔵する石炭は品質の悪い褐炭で、
その分、CO の排出量も多い。
つまり。
ドイツほど徹底的に再生可能エネルギーを推進しても、
脱原発をしてしまうと温暖化対策は後退する懸念がある――というわけ。
むしろ原発を生かしてこそ、
再生可能エネルギーの利用も相乗効果で真価を発揮できる。
これが皮肉な現実のようです。

ちなみに。
電気料金は上昇しています。
2000年、米ドル換算で12.1ドル/kWhだったドイツの家庭用電気料金は、
2006年には22.2ドル/kWhに跳ね上がっています。
産業用電気料金の上昇はより顕著で、
4.1ドル/kWhから9.4ドル/kWhに倍増してる。
これがドイツ産業の国際競争力を低下させたであろうことは間違いありません。
電気料金引き上げの主な理由は石炭価格の高騰ですが、
石炭への依存をむしろ強めたことが原因だとすれば、
間接的ではあっても脱原発のマイナス効果といって良いでしょう。

ただし。
ドイツは CO の排出量はちゃんと削減するといっている。
でもどうやって?
そこで次のグラフをご覧いただきたい。

図をクリックすると拡大します
nuclear power-4

これはドイツ連邦環境省の長期エネルギーシナリオです。
電力ではなく一次エネルギーの推移を示したものなので、
最初の電源別構成比とは異なる点に注意していただきたいのですが、
2050年までに CO 排出量を1990年比で80%削減すると謳っています。
どうしてそんなことが可能なのか?
答えは一目瞭然ですね。
エネルギー消費の全体量が減少するからです。

この難題を達成するために、
ドイツ連邦政府は徹底的に省エネを推進します。
電力需要は2020年までに11%削減するとしている。
つまり、皆さんが真っ先に連想する節電ですね。
しかしそれだけではございません。
最先端の火力発電所を新設して、エネルギーの生産効率を倍増させます。
同時に、エネルギー利用効率も大幅に改善する。
それって、どういうことでしょう?

例えば、こういうこと。
古いエアコンを最新型のエアコンに変えるわけ。
すると同じ仕事をしても消費電力が少ないでしょ?
自動車の燃費を向上させるのと同じことです。
すると、節電していないわが家の消費電力も減少する――
節電に協力する気はさらさらないんですが、
私の家の7月の消費電力は、昨年より13%減少しています

残念ながら15%には達しませんでしたが、
6月の異常な猛暑を考えれば 御の字 ではありませんか?
私の住んでいる街は、
全国的に有名になった熊谷市と館林市に挟まれています。
最高気温は39℃を突破し、
熊谷市では39.8℃を記録しました。
6月の最高気温記録が20年ぶりに塗り替えられるほどの猛暑だったんです。
にもかかわらず、電力使用量が減った。
pointはエアコンを交換したからです。
蓄熱暖房機を1台諦めてエアコンを交換したのは、
暖房だけでなく、実は冷房費の削減も考えたからです。

しかし。
エネルギー利用の効率化で、
ドイツが最も力を入れているのが住宅の高気密・高断熱化です。
覚えていますでしょうか?
それこそがパッシブハウス(Passive-House)という高性能住宅です。

これでわかったでしょ?
脱原発と温暖化防止を両立させる切り札が、
住宅の徹底的な高気密・高断熱化というわけ。
脱原発政策の推進と並行して、
ドイツは着実にこういうことをやってきたんですね。

そう考えると、日本の脱原発は非常に危ういように思えてきます。
日本の住宅性能はとても低い。
ドイツに比べて悲しいほど低い。
ところが、国はそれを改善する手を打たない。
国民もお金をかける気がない。
見てくれ重視で、家の性能なんて後回しでしょ?
それで脱原発ですか……?
理想を目指すのは結構でございますが、
それならそれなりの対策を講じるべきなんじゃないでしょうか。
しかも、日本の原発依存度はドイツよりも高い。

図をクリックすると拡大します

nuclear power-5

電源別構成比で比較すれば、日本とドイツの原発依存度はほぼ同じです。
しかし、発電量には格段の差があります。
資料によって若干の差はありますが、
ここでは「エネルギー白書(2010)」の数字を紹介しましょう。
すると、ドイツの原発発電能力は20.3GWです。
これに対して日本は46.2GWに達します。
ドイツの2倍以上でしょ?
これを全て再生可能エネルギーで代替するのは、
ドイツ以上に困難だということじゃありませんか?

しかも、ヨーロッパでは電力の自由化が進んでいます。
各国の送電線網が結合され、
自由に電力を融通しあうことができるんです。
つまり、電気の輸出入です。
そこで電力不足が生じたとしても、
余っている国から電気を輸入して不足分を補うことができる。

図をクリックすると拡大します
nuclear power-6

そして最大の電気輸出国はフランスなんですが、
その原発発電量を見直してみてください。
フランスはアメリカに次ぐ原発大国でしょ?
ドイツに続きイタリアでも脱原発が決定的になりましたが、
こうした脱原発の安全弁になっているのが、実は原子力発電――
これもまた現実なんです。
それに比べ日本では、
この狭い国土で電気を融通しあうことがままならない。
ご存知のように、
東日本は50Hz、西日本は60Hzだからです。

理想を追及するのは尊い。
しかし、現実を忘れた理想追求は時として破滅に導く。
それで電力不足?
しかも計画停電をする際には東京23区は対象外?
いい加減にして欲しい。
どこまで地方を犠牲にすれば気が済むのか……

陛下を見習い、東京こそ率先して停電すれば?
そうすれば、
もう少し現実を真剣に考えるようになるんじゃないんですか?



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節電する? それともしない? -熱中症のメカニズム-

2011 - 07/26 [Tue] - 04:10

天災は忘れた頃に……やってきましたね。
このブログも沈黙が続いていましたが、
性懲りもなく忘れた頃に復活しちゃうのです (^o^)/

さて。
歳をとったせいか、寒くなると体調が芳しくありません。
そこで冬になるとブログの更新が滞りがちになってしまうんですが、
暖かくなったのでそろそろ再開しなくっちゃ
―――っていう矢先に大地震が起きた次第です。
わが家も激しい揺れに見舞われましたが、
私にとって大打撃だったのは、
倒れた書棚の直撃を受けてパソコンが壊れてしまったこと。 (T_T)
パソコン自体は安物を見つけて早々に買い換えましたが、
問題はその中身です。
前のパソコンのデータを何とか取り出したい……
悪戦苦闘すること数ケ月。
ついに完全復活することに成功いたしました。 長かった~~~

ところで。
私は研究者ではない普通の素人です。
ただ他の方と違うところがあるとしたら、
自分なりの【検索方法】を持っている点かと思います。
これは10年以上かけて築きあげてきたもので、
そのためのデータがパソコンに収まっております。
だからこそ、それを失うということは、
私にとって手足をもがれるに等しい重大事だったわけなんです。

このブログに訪問してくださる方からも、
  どうやって調べているの?
そういう問い合わせをよくいただきます。
そこで今回は。
完全復活を記念して、
特別に私のパソコンの中身をちらっとお見せしちゃいます。
時節柄、例題として熱中症(heat illness)を取り上げてみましょう。

それでは、本題。
今年の夏は「節電」の大合唱ですが、
くれぐれも熱中症には注意していただきたい。
特に高齢者や循環器系の疾患を持っている方は要注意です。

そこでまず最初に。
熱中症の恐ろしさを再認識していただきましょう。
次のグラフは熱中症による死亡者数の推移を表したものですが、
近年、死亡者数が増加していることがわかります。
これも地球温暖化の影響なんでしょう。

図をクリックすると拡大します
heat illness-1

中でも、昨年の死亡者数は群を抜いています。
なんと1718人もの方が亡くなっている。
総務省消防庁のまとめでも、
昨年7~9月に熱中症で救急搬送された方は5万人を超え、
とりわけ、65歳以上の高齢者が46.4%を占めていたそうです。

ご批判を承知であえて申し上げますが、
放射能汚染で命を落とされた方がいますか?
注意するのが悪いとはいいませんが、
もっと熱中症の怖さにも目を向けるべきなんじゃないでしょうか。

そこで、熱中症について調べてみましょう。
とはいっても、
googleで【熱中症】を検索してみると、
なんと2900万件もヒットする。
【熱中症 高齢者】と絞っても、
それでも200万件もヒットします。
全部調べていたら、それだけで一生が終わりそう……
どうしましょ?
そこで、“道具箱”の出番です。

図をクリックすると拡大します
windows-1


これが現在パソコンに入っている[お気に入り]の一覧です。
関心がある問題に役立ちそうなサイトは、
頭にの数字が付いているフォルダにテーマごとに振り分けています。
今一番力を入れているテーマは[2-① ATP・ミトコンドリア]で、
ここには凡そ100のサイトが保存されています。
そして検索に活用しているサイトは、
頭に1-②という番号が付いているフォルダに整理してあります。
その中から今回は、
[1-②- 文献・統計検索]というフォルダを開いてみましょう。

図をクリックすると拡大します
windows-2


中でも私がよく活用させていただくのが、
CiNiiという論文データベースです。
ここで【熱中症 高齢者】と検索してみましょう。
すると、21本の論文がヒットします。
200万に比べれば格段に少ないですが、全て良質の情報ばかり。
情報は量ではなく質が肝心なのです。
しかもCiNiiの良いところは、
自由に閲覧できる論文があるという点です。

私が最初に目を付けたのは内山巌雄先生(京大大学院)の論文です。
というのも、
先生には化学物質過敏症(MCS)に関する論文も多い。
前々から参考にさせていただいているので、
今回も次の論文を真っ先に拝読させていただきました。
  ■ 地球温暖化の健康への影響 (「人間と生活環境」9(2)、2002年)
わかりやすい内容なので、皆さんも手軽に読めると思いますよ。

死亡率の月別変動を調べていくと、
一般に冬に高く夏に低い傾向があるそうです。
ということは。
暑さよりも寒さの方がリスクが高いということで、
地球温暖化で死亡率が低下する――
なんていう悠長なことをおっしゃる方もいたらしい。
そこで先生は、
もっと細かく日最高気温と日死亡率を比較してみた。
するとやっぱり日最高気温が高くなるほど死亡率も低下するそうです。

ところが。
それは日最高気温が33℃までのお話。
33℃を超えると再び死亡率が上昇に転じるということがわかった。
しかもこのようなV字型の死亡曲線を描くのは、
65歳以上の高齢者だけだというのです。
とりわけ、循環器系や呼吸器系の基礎疾患を有する方に顕著らしい。
こうした事実から、
  過度の暑熱ストレスも死亡リスクとなる
地球温暖化は熱中症による死亡者を増加させる危険性があるようです。

では、どうして高齢者が危ないのか?
そこでもう一つ論文を開いてみましょう。
  ■ 中高齢者における夏季暑熱環境下農作業時の体温調節反応の特性
     (「体力科学」57(6)、2008年)
これは学会の口演発表の要旨なので、
論文と呼ぶほどボリュームのあるものではありません。
でも、熱中症の特徴をよくとらえています。
研究では19~21歳の学生と45~66歳の中高齢者に、
同じ面積の草取り作業をしてもらっています。

作業直後、身体にどんな反応が起こるか?
  ① 平均心拍数は中高齢者で有意に高い
  ② 体温(舌下温)は中高齢者で有意に高い
ところが。
  ③ 総発汗量は中高齢者で有意に低い
実はこの3点に、熱中症の特徴がよく表れております。

中高齢者、とりわけ高齢者は発汗機能が低下しています。
ではどうやって体温を下げるかといえば、
皮膚に近い血管を拡張するんです。
つまり熱くなった血液を冷ますことで、
身体の熱を逃がそうとするわけですね。

しかし末端に血液が集まりすぎると、
心臓や腸管などの中心臓器は反対に虚血状態に陥ります。
いってみれば、ショック状態(shock)のようなものです。
すると心臓はなんとか血液を循環させようとしてフル回転しますから、
心拍数が上がって頻脈となるのがわかるでしょ?
念を押しておきますが、
こうした状態に陥るのは炎天下で作業をした後とは限りません。
家の中にいても同じです。
事実、家の中で熱中症になる高齢者は意外と多いのです。

ただし、大量出血のように血液の絶対量が減少するわけじゃ~ないので、
循環器系の疾患を持っている方は例外として、
それだけで死に至るような致命傷になるとは思えない。
もっと別のメカニズムが働いているんじゃないでしょうか。
そこで気になるのが、もう一つの重要な指摘。
体温が上がって心拍数も上がっているのに、
なぜか……
  作業直後の口渇感は中高齢者群で有意に低値を示す
高齢者はあまり喉の渇きを覚えないらしい。

これで答えは見つかった。
高齢者は水分を補給しない。
だから汗をかかないので熱中症になりやすい――
そう考える方も少なくないかもしれません。
しかし、私は結論を急ぎません。
高齢者が喉の渇きを覚えない理由をもっと探ろうと試みます。
ただし、ここから先の答えは誰も教えてくれません。
そこで“状況証拠”を積み上げていくしかないわけですが、
こうした時間のかかる作業を通してこそ、
ブログのoriginalityが生まれるんだと考えています。
というわけで、ここから先は各自でお考えください

ちなみに。
私の頭に浮かんだのは甲状腺ホルモン(thyroid hormone)との関係です。
甲状腺ホルモンは身体のエネルギー生産を活発化させます。
いわばエンジンの回転数を上げるわけで、
そうなれば熱も大量に発生する。
つまり、体温が上昇するわけ。
熱くなって火照る身体を冷却するには汗をかかなくっちゃならないでしょ?
そこで甲状腺機能亢進症の方は大量の汗をかく。
反対に、甲状腺機能低下症の方は発汗量が減少します。

では、甲状腺ホルモンの分泌はどこでコントロールされているのか。
それが脳の視床下部(Hypothalamus)という場所です。
視床下部はわずか5gほどの重量しかございませんが、
ここには様々な神経核(nucleus)がびっしりと詰まっており、
身体のあらゆる自律機能をコントロールしています。
その神経核の一つに室傍核(Paraventricular nucleus)というものがございます。

図をクリックすると拡大します
heat illness-2
室傍核はストレス(stress)反応の中枢としても有名です。
室傍核にはCRH産生細胞があり、
分泌されたCRHが下垂体からのACTH放出を促します。
さらに血液に運ばれたACTHが副腎皮質を刺激すると、
副腎皮質はコルチゾールなどのステロイド物質を放出します。
これが副腎皮質ホルモンと総称されるもので、
ストレスのダメージから身体を防衛する働きをします。


室傍核にはTRH産生細胞が多く存在します。
ここでTRHとは――
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin releasing hormone)の略称で、
日本語だと長ったらしいので、
一般には【TRH】と表記されております。
下垂体から甲状腺刺激ホルモンの放出を促すトリペプチドです。
そして次に登場するのが甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone)ですが、
こちらは【TSH】と表記されます。
これが甲状腺を刺激すると甲状腺ホルモンが分泌されるわけですね。

そしてもう一つ。
上図をご覧下さい。
「Stress」とならんで、室傍核に「Water Balance」と注記されてるでしょ?
実は室傍核は口渇中枢(drinking center)の一つと考えられており、
ここを電気刺激された実験動物は大量の水を飲みます。
反対に、破壊してしまうと飲水行動をとらなくなります。
その口渇中枢が甲状腺を刺激する細胞の隣組に存在する――
この事実は何を意味するんでしょうか。

私はこんな仮説を立ててみました。
甲状腺ホルモンを出すということは体温が上昇するということです。
そうなると、冷却のために発汗機能を働かせなくっちゃいけません。
どんどん冷やすためには水分補給が欠かせない……ですよね?
だからこそ、
甲状腺ホルモンの分泌と水分補給は連動してるんじゃないんでしょうか。

ところが。
高齢者は甲状腺機能が低下します。
そんなにエネルギーを生産しなくなるわけで、
体温の上昇圧力も弱いということになる。
それなら冷却能も小さくて良いわけで、
水分を大量に補給する必要もありません。
だから、口渇感を感じにくいのではないか?
それどころか、
必要もないのに大量の水分を補給すると低Na血症になる危険があります。
いわゆる、水中毒というやつですね。
口渇感を感じにくくするのは、
水中毒から身体を守る防衛メカニズムなのかもしれません。

つまり、高齢者は汗をかけない。
この事実を忘れて、
暑いからといって強引に大量の水を飲むのはかえって危険でしょう。
摂取しても汗にならずに水中毒を起こす可能性があります。
高齢者は血管の拡張によって熱を逃がすことしかできないんです。
しかし猛暑日のような暑い日が続くと、
熱放散は遅々としてはかどりません。
だって、気温の方が体温より高いんだから当然でしょ?
だから体温はどんどん上昇する。
では、どこまで上昇するのか。

ちなみに。
日頃から、参考になりそうな論文はダウンロードして大切に保存しております。
その中に、こんな論文がありました。
  ■ 高温暴露時(熱中症)における脳・心臓の
       急性反応の形態学的・分子生物学的検索
 (2009年)
那谷雅之先生(三重大医)の研究です。

先生は高温曝露されたラットの心筋と脳幹を調べてみました。
詳細は省きますが、
私が注目したのはHSP(Heat Shock Protein)の変化です。
HSPは熱ショックタンパク質というもので、
細胞が熱などのストレスに曝された際に発現が上昇します。
体内では分子量の違う様々なHSPが活躍していますが、
中でもHSP70は熱に対する細胞の耐性形成に直接かかわります。

heat illness-3
遺伝子の情報をもとに合成されたタンパク質は、
フォールディングという折りたたみ作業によってはじめて機能するようになります。
ただし、中には欠陥品もできてしまうのは仕方ありません。
こうした欠陥品に結合して修復するタンパク質がHSPで、
いわばタンパク質の品質管理をするタンパク質といえるわけです。
こうしたタンパク質はシャペロン(chaperone)と総称されていますが、
HSPは変性したタンパク質にも結合し、
修復が不可能な場合にはプロテアソームに送って分解させます。


高温に曝されたラットの体温は上昇していきますが、
それとともに心筋と脳幹ではHSP70の合成量が増加します。
とりわけ、
直腸温が42~44℃の間で有意に増加するそうです。
これはタンパク質の変性が始まる温度に一致し、
ダメになったタンパク質が続出している危機的状況を反映しているんでしょう。
そして44℃を超えると、もはや修復が追い付かなくなるらしい。
ラットは除脈となり、突然心停止する――
つまり、ご臨終というわけ。

そこで先生は、こう推測されています。
  42~44℃に暑熱ストレスに対する耐性の限界がある
これは直腸温ですから、
腋下温では0.4~0.8℃程度低くお考えください。
この段階に至ると脳や心臓が直接的なダメージを受け、
タンパク質の変性が不可逆的になって細胞が破壊されます。
さらに筋肉も機能しなくなるので、
一切の回避行動が封じ込められてしまいます。
水を飲みに蛇口に行くことすらもはやできない。
そして、最終的に多臓器不全に陥ってしまう――
こうなれば年齢にかかわりなくThe Endですが、
冷却能の弱い高齢者ほどリスクが高いのは明らかでしょう。

それでは、こうしたオーバーヒートを防ぐにはどうしたら良いのか。
発汗機能が低下した方は、
いわば恒温性が弱体化して変温性に傾いたような状態です。
つまり、身体を取り囲む気温の影響を受けやすいのです。
そういう方が体温をできるだけ一定に保つには、
気温の変化を抑えるしかありません。
とはいっても、
外気温を上げ下げできるのは神様だけ。
人間にできることといったら、
せいぜい室温をコントロールすることぐらいじゃありませんか?

そこで結論。
高齢者の方は、「節電」なんか意識しないでエアコンを使いましょう。
そして化学物質過敏症(MCS)も加齢現象に近いというのが私の考え。
事実、化学物質過敏症の妻は温度変化にとても弱い。
体温調節が上手くできないのです。
そこでわが家では、
今年もエアコンがフル稼働しています。
「節電」できる方はどうぞしてください。
でも、「節電」できない人間がいることもご理解ください。
生死にかかわる問題なので、
なんと非難されようと、
私はエアコンの使用を控える積りは毛頭ございません。

ちなみに。
私の保存している論文にはこんなものもありました。
  ■ 住宅における作業効率と温熱環境に関する研究
東京都市大の学生さんの論文ですが、これがなかなか興味深い。
2011年度の日本建築学会大会(関東)でも発表しているようです。
夏季における住宅での作業効率を調べた結果、
室温が高くても低くても作業効率は低下するらしい。
至適温度、つまりちょうど良い室温があるということですね。
ただし自然換気(NVモード)とエアコンを使用している場合(ACモード)では違いがあり、
NVモードの至適温度は約23℃。
一方、ACモードの至適温度は27℃――だそうです。
おそらく、自然換気では湿度が高くなってしまうからでしょう。

図をクリックすると拡大します
heat illness-4

でも窓を思いっきり開けているような自然換気の家で、
夏のさ中に23℃なんて不可能でしょ?
実際、測定期間中の平均室温は、
NVモードで約30℃、ACモードで約28℃だったみたいです。
そうなれば、どっちの方が作業効率が高いの~~~
答えは明らかでしょ?
ACモードの方が作業効率が高く、
必然的に快適性も上ということでしょう。

お若い方は暑熱ストレスに強いとは思いますが、
やっぱり、
エアコンの効いた家の方が快適じゃありませんか?
それでも全身びっしょり汗をかきながら「節電」するんですか?
ホント、日本人って偉いね!!!




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これからも少しづつ手を加えていきます。

寒い家は自殺を招く-冬季うつ病-

2010 - 12/23 [Thu] - 07:14

気づいたら、今年も残りわずかになってました。 (>_<)
年賀状……、まだ手付かずです。
大掃除……、今年はできそうもありません。
年末年始って、慌しくって嫌いです!!!

愚痴はさておいて。
ここ最近急に冷え込んできたせいなんでしょう。
テレビでヒートショック(heat shock)を取り上げておりました。
お耳にした事はあるでしょうか?
急激な温度変化によって血圧が急変すると、
心臓や血管に大きな負荷がかかります。
その結果……。
心筋梗塞や脳卒中を誘発し、
最悪の場合、命を落とすことすらある。
特に寒い季節には要注意で、
暖房をしている暖かい部屋から冷えたトイレやお風呂に行くと、
それだけで血圧が一気に跳ね上がります。
このような時、
身体が受けるダメージをヒートショックというのです。

でもね。
私はこの問題を10年も前から指摘しております。
これを防ぐには家の中の温度差をなくすのがベストで、
そのためにも高気密・高断熱化が急がれるわけです。
高気密・高断熱住宅って、省エネばかりが目的じゃ~ございません。

それなのに、
10年経っても何も変わっていない……
日本社会には最先端の技術がひしめいているのに、
こと住宅だけは全く進歩しないのはどういうわけなんでしょう。 (?_?)
昔ながらの家の方がいい――
そんな非科学的な意見がまかり通るから、
いつまで経っても【ヒートショック】が死語にならないのではないでしょうか。

ところで。
今朝は2℃まで冷え込みましたが、「FPの家」の中は20℃でした。
これって、当たり前ですか?
でも、リビングだけじゃありませんよ。
キッチンやダイニングは言うに及ばず、洗面室やお風呂もほぼ同じ温度。
下着姿のままトイレで用を足しても全然寒くありません。
裸足で歩いても床が冷たくありません。
だから、ヒートショックの心配もない!!!
温度差のない暖かい家は、健康にとても良いのです。
それに一晩中この室温だから、
布団から出るのも億劫じゃないし……

そろそろ、本題に入りましょう。
自殺の話題を続けてきましたが、今日はその最終回です。
くどいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、
なぜ私がそこまで自殺問題にこだわるのか――
その理由もおわかりになるかと思います。

さて。
秋田県の自殺死亡率が高いのは、
様々な要因が複雑に絡みあってのことです。
前回も紹介した本橋豊先生(秋田大)は、
気質などの個人特性要因や高齢世帯が多いという家族的要因の他に、
気候的要因地域的要因を指摘しています。

この内、地域的要因とは?
秋田は日本有数の米どころで、上手いお酒も多い!!!
ここで思い出していただきたいのですが、
秋田には ALDH2 活性の高いNN型遺伝子を持つ方が多かったでしょ?
酒どころの上に酒豪の方が多いので、お酒の消費量が多い。
中でも日本酒に限っては、秋田県の消費量は全国で1、2位を争います。

しかしその反面、
アルコール依存症に陥っている方も相当数にのぼるのではないか?
ここでもう一つの話を思い出してください。
うつ病と並んで、
アルコール依存症も自殺と強い関係があったでしょ?
NN型遺伝子を持つ方が全国で最も多い秋田県では……
  
  大量の飲酒→→→アルコール依存症→→→自殺

このような図式が成り立っている可能性が高い!!!
ちなみに秋田県にNN型が多いのは、
太古に白人系の集団が渡来していたからかもしれません。
ヒトJCウイルスのゲノム型は、
人種の成り立ちを解明する手がかりを与えてくれます。
人類の移動とともにJCウイルスも移動することから、
同じゲノム型のJCウイルスに感染している人々は、
かつて同じ集団に属していたことの証となるのです。

そして秋田市周辺には、
欧米人と同じゲノム型(EU-a型)のJCウイルスを保有している方々がいる!!!
秋田にNN型の方が際立って多い背景には、
まだ光が当っていない歴史が隠されているのかもしれません。
欧米人はほぼ100%の人がNN型――
だから、秋田県にNN型が多いのも当然の結果なんでしょう。

【補足】
JC ウイルスは進行性多巣性白質脳症の患者の脳から分離されたウイルスで、
グリア細胞で増殖し、細胞を融解して脱髄脳症をひき起こします。
ほとんどの人が幼少期に親から感染しますが、
通常は特段の症状も出さないまま抗体を獲得し、
一部のウイルスを生涯にわたって保持し続けます。
つまり人と共存して親から子へと伝染していくため、
近年、人種の成り立ちを探るアプローチの一つとして注目されています。


次に、気候的要因とは?
具体的には、寒さ、日照量不足、降雪量の多さなどです。
中でも日照量不足に関して、
本橋先生は次のように解説しています。
  日照量不足はメラトニン分泌を変化させ、
  うつ的な気分を助長させるものと考えられる。

専門的な言葉を用いると、
こうしたうつ症状は季節性感情障害(SAD)と呼ばれております。

北欧などの高緯度地方に暮らす方々の中には、
10~11月になると気分が塞ぎこんで疲れやすくなり、
食欲増大や睡眠過多になる方がいらっしゃいます。
こうしたうつ傾向は1~2月頃にピークを迎え、
春の訪れとともに治まるというサイクルを繰り返します。
その原因と考えられているのが日照量不足で、
脳内でメラトニンの分泌が過剰となり、
その影響でセロトニン(serotonin)が不足してしまうようです。
別名【冬季うつ病】、あるいは【winter blues】とも呼ばれる。
雪国の秋田県でも晴天の日が少ないために日照量が減少し、
その分、冬のうつ傾向が強くなり、
自殺死亡率を押し上げる一因になっているというのです。

そこで、メラトニン(melatonin)を紹介することにしましょう。
皮膚の色を黒くするホルモン(メラニン細胞刺激ホルモン)を発見したラーナー(Lerner)は、
反対に白くするホルモンもあるのではと考えました。
こうして1958年、牛の脳内から発見されたのがメラトニンという化学物質です。
正式には、N-アセチル-5-メトキシトリプタミンといいます。

このメラトニンが一躍脚光を浴びたのは、
1990年代に活性酸素のスカベンジャーとして機能する可能性が指摘されたからです。
不老長寿の薬――などともてはやす方もおり、
確かに、抗酸化物質の摂取で実験動物の寿命が延びるというデータも存在する。
ただし。
寿命が延びるということは成長も止まることを意味しています。

特に、メラトニンは生殖活動を抑制することが知られてきました。
ウズラの脳から発見された性腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH)が、
近年になってヒトの脳内にも存在することが突き止められています。
メラトニンはその合成を促していたんです。
さらに今年には、
遺伝的にメラトニン合成能を欠いている実験用マウスに、
メラトニンを投与すると精巣の発達を阻害することも確認されている。
いずれのケースも、
メラトニンが生殖を抑制するホルモンであることを裏付けるものです。

私は抗酸化作用を必要以上に美化する話には胡散臭さを感じます。
だから、そんな話に興味はございません。
ここで取り上げたいのは睡眠との関係です。
というのも、メラトニンの分泌は昼に少なく夜に多い――
明確な日周リズムを持っているのです。
それはなぜ?

図をクリックすると拡大します
hibernation-1
網膜には視覚にかかわる視細胞の他に、
光を感知する光感受性神経節細胞があります。
この細胞はメラノプシンという独自の感光色素を用いて光を感知し、
視神経とは別のルートを用いてシグナルを視交叉上核に伝達します。
その中で最も重要なのが網膜-視床下部路(RHT)と呼ばれる経路です。


メラトニンの分泌に限らず、覚醒と睡眠、体温、血圧、ホルモン分泌など、
生命活動は規則的なリズム性を有しています。
こうしたことが可能なのは体内に”時計”を持っているからで、
これを生物時計といいます。
生物時計は全ての細胞に存在すると考えられていますが、
中心となる時計中枢は視床下部の視交叉上核(SCN)というところです。
視交叉上核は眉間の奥に位置する直径わずか1.5mmほどの神経核ですが、
ここを破壊された動物は、
規則正しい睡眠・覚醒リズムが完全になくなってしまうことが知られています。

メラトニンは網膜でも合成されますが、
それ以上に重要なのが松果体(pineal body)です。
この松果体からのメラトニン分泌も視交叉上核の制御を受けていることから、
夜間に分泌のピークを迎えるというリズム性を有するわけ。
もちろん。
生物時計といっても、機械の時計が体内にあるわけじゃ~ございません。
次の図をご覧ください。

図をクリックすると拡大します
hibernation-2

視交叉上核では特定の遺伝子群が規則的に発現し、
タンパク質の合成を繰り返しています。
これがあたかも”時計”のように振舞うわけで、
このような遺伝子が時計遺伝子(clock gene)と呼ばれるもの。
動物の場合には、periodper )、ClockClk )、cry などが有名です。

その結果、生命活動は1日の日周サイクルを正確に繰り返します。
ただし、時計遺伝子が刻むリズムはピッタリ24時間ではありません。
個人差はありますが、
ヒトではだいたい24.2~25.1時間だとされています。
そこで生物時計によって奏でられるリズムを、
「ほぼ1日」という意味で概日リズム(Circadian rhythm)というのです。

ところが、自然のサイクルは1日=24時間です。
概日リズムという自発的な内因性リズムはそれよりも長いため、
日数を重ねるごとにズレがどんどん拡大していってしまいませんか?
そこで自然のサイクルにピッタリ一致させるためには、
生物時計は毎日微調整される必要があります。
いってみれば、時報にあわせるようなようなものとお考えください。
この”時報”の役割をする外的刺激が同調因子というもので、
とりわけ光は強力に生物時計をリセットするのです。

それでは、視交叉上核はどのようにメラトニン分泌を制御しているのか?
図を使いながら説明しましょう。

図をクリックすると拡大します
hibernation-3

セロトニンやメラトニンはアミノ酸のトリプトファンから合成されますが、
セロトニン経路のほかにキヌレニン経路も存在します。
トリプトファンがインドールアミン酸素添加酵素(IDO)によって一気に開裂し、
脱ホルム化によって生成されるのがキヌレニンです。
様々な感染症や炎症性疾患、あるいはストレスによってキヌレニン経路は活性化され、
全身に激しい傷みを生じる線維筋痛症(FMS)でも亢進するという報告もあります。
またキヌレン酸はグルタミン酸神経やドーパミン神経の活動を抑制することから、
統合失調症やうつ病との関係が注目されています。
さらにキヌレニン経路では、
最終的にナイアシン(Niacin)を経てNADが合成されることから、
生体のエネルギー問題が根幹に潜んでいると思われます。

メラトニンはセロトニンから合成されますが、
そのとき働く酵素の一つがN-アセチル転移酵素(NAT)です。
視交叉上核が制御しているのは、具体的にはこの NAT という酵素で、
NAT の酵素活性は夜になると昼の50~100倍も上昇するそうです。
その結果。
薄暗くなる夕方からメラトニンの合成が亢進し、
脳内に分泌されたメラトニンが脳の覚醒レヴェルを下げて睡眠へと誘います。

つまり。
メラトニンの分泌は光によって抑制されるので、
日照量の少ない冬には合成が過剰となり、
それにともなってセロトニンの脳内濃度は低下します。
このことが季節性感情障害の原因と考えられているわけ。
特に秋田県は冬の日照量が少ないため、
気分の落ち込みが激しくなって自殺を誘発する――
これが気候的要因説のあらましです。

でも。
重要なのは日照量だけではなさそうです。
そこで、次の図をご覧ください。
2005(平成17)年の自殺死亡率の図に、
1月の日照時間と平均気温の平年値を重ねてみました。

図をクリックすると拡大します
hibernation-4

秋田県ばかりが騒がれますが、
自殺死亡率の高さは北東北(青森、秋田、岩手)に共通する問題です。
そこで、冬の日照時間を比較してみましょう。
確かに秋田県や青森県の日照時間は少なめですが、
太平洋側の岩手県はそうでもないでしょ?
それなのに自殺死亡率は高い。
ということは、
日照時間以外の気候的な要因もあるのではないか――
そうお感じにはなりませんか?

そこで注目したいのが気温です。
北東北各県では、共通して平均気温が低くありませんか。
要するに寒いわけ。
これが自殺を誘発する要因になっているんじゃないでしょうか?

実際、温度も生物時計の重要な同調因子です。
恐らく、体温の維持に関係するんだと推測しています。
光が重要なのも日射熱に意味があるのかもしれません。
冬に日向ぼっこをすると誰だって気持ちいいでしょ?
植物のように光合成をするわけではないので、
動物にとって光(太陽光)自体が重要とは思えません。
むしろ、適度な体温を保つために利用しているのではないか?
光は日射熱の多寡を知るシグナルとしての意味があるのでしょう。

日照量が少なく気温の低い冬には、
体温を維持するためにエネルギーが浪費されてしまいます。
寒さも季節性感情障害の一因
私はそう推測しております。

ここで思い出していただきたいのは、
北東北には ALDH2 の遺伝子型がNN型の方が多いという事実です。
つまり。
見事に寒冷地適応を果たした新モンゴロイドの証である、
D gene を持っていないのです。
その分、寒さに弱く、
これが自殺死亡率を高める遺伝的要因になっているのではないでしょうか?

胡散臭い話だとお感じなりますか。
でも、動物だって寒くなると元気がなくなる。
そうです。
寒くなると冬眠(hibernation)するでしょ!!!

最後に。
もし寒さが元気を奪うという推測が正しいとすれば、
自殺を防ぐ対策も自ずと明らかになります。
寒さが原因なら、暖かくしてやればいいんです。
簡単でしょ?
特に重要なのは、住まいを暖かくすることです。

ここで興味深い事実があります。
先ほどの図をもう一度ご覧ください。
北海道も日照時間が少なく、気温は北東北各県よりさらに低い――
にもかかわらず、自殺死亡率は全国平均レヴェルです。
その理由を知るために、次のグラフを見てみましょう。

図をクリックすると拡大します
hibernation-5

これは1世帯あたりの灯油使用量の推移を示したものです。
札幌市では2400ℓから1300ℓに減少しているのに、
北海道より”暖かい”東北の各都市では逆に増加しています。
その背景にあるのが住宅性能の違いで、
北海道では住宅の高気密・高断熱化を推し進めてきた成果です。
その結果、暖房に要する灯油を大幅に削減できたわけ。

ただし、効果はそれだけにとどまりません。
高気密・高断熱化によって、家の中の温度差がなくなります。
つまり、ヒートショックのない家になる。
事実、北海道は北東北各県より心筋梗塞や脳卒中で命を落とす方が少ないのです。
そして……、自殺死亡率も低い!!!

ところが東北地方では、高気密化・高断熱化が遅れている。
上のグラフは「平成21年度 秋田県省エネルギービジョン」から拝借したものですが、
その中には次のような一文があります。
  アンケートの結果、昭和55年以前に建てられた住宅では、
  壁に断熱材が入っていない割合が4割近くに達しています。

”昭和55年以前”といえば、築30年以上になる家です。
こういう家の半分近くが、断熱材を使わない”裸同然の家”だというのです。
恐らく、こういう旧家は農村部に多いでしょう。

性能の低い伝統的な住宅は家の中に寒さが同居し、
そのような家を強引に暖かくするために灯油の使用量が増大しました。
しかしいくら灯油に糸目をつけずにガンガン暖房しても、
家の中の温度差は解消できないのです。
冷たい隙間風に無防備で、
暖房する側から熱が逃げてしまうような家なんですから仕方ありません。

たびたび紹介している本橋豊先生によれば、
秋田県の自殺死亡率は男女とも都市部より農村部の方が高いそうです。
その理由を農薬に結び付けて考えるのは、あまりにも安直すぎやしないか?
築年数が古くて気密・断熱性能の低い家が多いという問題が、
もっともっとクローズアップされても良いと思うのです。

寒い家はヒートショックのリスクの高い家となります。
しかし怖いのはそれだけではなく、
自殺問題の背景にも、
あまりにもお粗末な日本の住宅事情が暗い影を落としているのかもしれません。



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自殺率日本一、秋田とは何か・・・?

2010 - 11/23 [Tue] - 16:25

ご無沙汰しております。
3週間ぶりの更新になっちゃいましたが、
はかどらない一因は私の性格にもあるんでしょう。

私はとても”小心者”でして、
書いている内容に誤りがないかといつもビクビクしております。 (*_*)
ネット上に記事を公開する前には、
とことん下調べをしてからでないと不安なのです。
それで……更新に時間がかかってしまう。 (+_+)

私のブログを読んでくださっている方の数なんてたかが知れていますが、
たとえわずかではあっても、
せっかく読んでくださる方に間違った情報を伝えるのは申し訳ない。
まがりなりにも意見を発表するからには、
書いた文章に責任があると自覚しております。

ところで。
『AERA』という雑誌をご存知でしょう。
朝日新聞社が発行している雑誌で、
そこに掲載されている記事の影響力は私のブログの比ではありません。
その分、内容に誤りがあるなんて許されないのではないでしょうか?

その『AERA』の2006.2.13号に、次のようなタイトルの記事が載りました。
  10年連続「自殺率日本一」秋田とは何か
書かれている内容を要約すればこういうこと。
. 秋田県では農薬の空中散布が多い
. 汚染された空気を吸うことで体内に吸収される
. 脳内のセロトニン合成が阻害されてうつ状態となる
その結果、自殺する方が多い――という論理展開です。
つまり、農薬が自殺の原因になっているといいたいわけ。

農薬にも様々な種類がありますが、
ここで問題視されているのは有機リン(organophosphorous compound )系です。
主に害虫を殺す殺虫剤として用いられます。
最初にお断りしておきますが、
農薬が安全なんていう積もりは毛頭ございません。
しかし、ことさらに恐怖を煽るのも間違いだと思うのです。
そこで、『AERA』の記事も胡散臭い…… (=_=)
本当に、農薬が自殺の原因なんでしょうか?

ということで、本題に入りましょう。
秋田県にとって、自殺は積年の問題です。
県が作成した資料の一例を紹介しましょう。

図をクリックすると拡大します
suicide-9

わかりやすいように一部加筆しておきましたが、
厚生労働省の人口動態統計によれば、
秋田県の自殺死亡率は1995年(平成7)から連続してtopを”独走”しております。
最新の2009年(平成21)のデータでも全国1位でしたから、
「15年連続」に記録を更新したことになります。

でも、これで驚いちゃいけません!!!
1993年と1994年だって全国2位。
しかも私が確認できた限り、
1989年~1992年はやっぱり全国1位でございます。
つまり「平成」になってから、秋田県はず~~~っと”自殺大国”なんです。
恐らく、それ以前も同じなんじゃないでしょうか?

確かに、異常なことです。
県が頭を悩ますのも無理はございません。
でも、どうして秋田県が……
秋田県に何か特有の問題があるのではないか?
それが農薬である――というのが『AERA』の警鐘です。
そこで、その真偽を検証して参りましょう。

■ 空中散布された農薬が大気を汚染する

秋田県の農薬使用量がどの程度なのか?
残念ながら、詳しいデータを見つけることはできませんでした。
しかし、空中散布された農薬が大気を汚染するのは事実です。
一例として、新潟県の水田地帯における例を見てみましょう。

ここに紹介するのは、
花井義道先生(横浜国大)らが1988年に調査した事例で、
7月23~24日の2日間にわたって農薬が空中散布されています。
汚染の広がりを実感しやすいよう、
観測結果を現在の航空写真に重ねたのが次の図です。

図をクリックすると拡大します
suicide-10

地図中に記された数字はフェニトロチオン(fenitrothion)の濃度です。
フェニトロチオンは現在使用されている最も代表的な有機リン系殺虫剤の一つで、
正式な化学物質名は、
チオりん酸 O,O-ジメチル-O-(3-メチル-4-ニトロフェニル)といいます。
ただし、とても長ったらしいので「フェニトロチオン」の一般名で呼ばれ、
あるいは住友化学が開発したことから【スミチオン】とも、
英語の略称で【MEP】とも呼ばれています。

地図をご覧になっておわかりのように、
郊外の水田地帯に散布されたフェニトロチオンが、
市街地全域で観測されていることがわかります。
まさに、空から農薬が降ってくる――
こんな実態を知ったら、誰だって背筋が寒くなってしまうでしょう。

■ 農薬が体内に吸収されてしまう

それでは、汚染された空気を吸うことで、
実際に農薬が体内に吸収されているのでしょうか?
そこで、次に富山県衛生研究所の調査結果を紹介することにしますが、
その前にフェニトロチオンの代謝経路を確認しておきましょう。

図をクリックすると拡大します
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リン(P)を含む無機物であるリン酸に、
有機物であるアルコールやフェノールが脱水縮合した化合物がリン酸エステルです。
こちらはリン(P)の他に炭素(C)を含んでいるので有機物となり、
こうした有機リン化合物を加水分解する酵素はA型エステラーゼに分類されます。
その代表が PON というエステラーゼです。
今日、PON には3つのサブタイプが存在することが明らかとなっており、
それぞれ PON1、PON2、PON3 と呼ばれています。
この内、有機リン化合物を加水分解する酵素として知られているのが PON1 です。
ところが、PON2 や PON3 にはPON活性はなく、
ラクトンを加水分解するラクトナーゼ活性を有することが確認されています。
そこで PON family の本来の機能は、
動脈硬化との関係が注目されているホモシステインチオラクトンのような、
有害な内因性ラクトンを加水分解することのようです。
こうしたことから、「PON」という名称は不適切とも指摘され始めています。 

フェニトロチオンは P=S 結合を有するチオノ体です。
これが体内でシトクロムP450(CYP)という酵素で酸化され、
P=O 結合を有するオキソン体に変化します。
それをフェニトロオキソン(fenitrooxon)といい、
実際に強い毒性を発揮するのはこのオキソン体です。

しかし、他にも代謝経路があります。
その一つが paraoxonase1(PON1)による加水分解で、
これによって P-O-アリール結合が開裂し、
ジメチルチオリン酸(DMTP)と3-メチル-4-ニトロフェノール(PNMC)が生成されます。
もちろん PON1 はフェニトロオキソンも加水分解し、
その場合にはジメチルリン酸(DMP)が生成される。
これらの代謝物は、ほぼ24時間以内に尿中から排出されます。
さらに、もう一つ。
グルタチオンS-転移酵素(GST)によって脱メチル化され、
その後に PON1 で加水分解される経路もあります。

こうした3つの代謝経路の内、
昆虫では CYP による酸化反応が優先されます。
その結果、生じたオキソン体が強い殺虫効果を発揮するわけ。
ただし、哺乳類では加水分解や脱メチル化が優先され、
こうした違いが人畜に対しては低毒性といわれる所以です。

さてそれでは、富山県衛生研究所の調査がどのようなものかというと、
ヒトの尿中に含まれる DMTP DMP を分析したんです。
これらの代謝物が尿に含まれる量が多ければ多いほど、
たくさんの有機リン系殺虫剤が体内に吸収されたと考えられるわけですね。

図をクリックすると拡大します
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調査では農村地帯とその近郊に居住する女性の尿検査を行い、
5~7日ごとに DMTPDMP の濃度を分析しました。
グラフに紹介されているのはその内の2人の女性の場合で、
【女性A】は有機栽培農家の主婦、【女性B】は農村近郊にお住まいの主婦です。

まず【女性A】の場合には、8月中旬に尿中濃度が高まっています。
これは病害虫駆除のため、
地域ぐるみで水田への農薬一斉散布が行われた結果と推察されています。
もちろん農業に直接携わっていなくても、
農村近郊に居住しているだけでこうした農薬に曝露される――
それを物語るのが別の地域に住む非農家の【女性B】のケースで、
9月中旬に尿中濃度が跳ね上がっているのがわかります。
その濃度は、むしろ農家の【女性A】より高いでしょ?
そこで、論文では次のように結ばれています。

  農村地域では直接農薬散布に携わらなくても
  周辺の農作業による影響として農薬暴露を受けると考えられた。

  
こうした調査結果を踏まえれば、
空中散布された農薬も呼吸によって体内に吸収されている――
そう考えて間違いなさそうです。  

■ 農薬によってうつ状態となる

体内に吸収された有機リン化合物は、
コリンエステラーゼ(ChEという酵素の働きを阻害します。
その結果生じる代表的な中毒症状が縮瞳というものですが、
その他にも、筋肉の異常収縮によって呼吸不全に陥り、
最悪の場合には死に至る――
昆虫が死んでしまうのはそのせいで、
サリン(sarin)などの毒ガス兵器も同様のメカニズムに基づいております。

ただし、ChE は脳の中にも存在し、アセチルコリン神経の働きを制御しています。
アセチルコリン(ACh)を発射する細胞は脳内の各所に散らばっていますが、
中でも私が注目しているのは、
脳幹の脚橋被蓋核(PPT、PPTN)に分布するアセチルコリン細胞(Ch6)です。
というのも、脳幹の腹側被蓋野(VTA)、
あるいは黒質緻密部(SNr)に分布しているドーパミン細胞に投射するからです。

ドーパミン神経の活動が低下すれば、やる気や意欲が低下します。
その結果、うつ状態になる――
私はそう推測しているのですが、
一般的には、
うつ病はセロトニン神経との関係で論じられることが多い。

『AERA』の記事では、
有機リン系殺虫剤も脳内のセロトニン合成を阻害するとしています。
その根拠として引き合いに出されているのが、
2005年に発表されたロンドン(L. London )の論文です。
この方がどのような動物実験を根拠にしているのか確認しておりませんが、
その可能性は大いにあるでしょう。

例えば。
有機リン系殺虫剤の一つに、ジクロルボス(DDVP)というものがございます。
覚えていますか?
”毒入り餃子”から検出された農薬の一つでした。
このジクロルボスに関しては、
詳細な「初期リスク評価書がまとめられております。
その神経毒性試験結果のリストの中には、
セロトニン系への影響を指摘したものが確かにある!!!
ラットを用いた実験により、脳の異なる部分で、
セロトニン含量が低下したというのです(Ali and Hasan, 1977; Ali et al., 1979b,1980))
その結果、うつ状態が誘発される可能性を否定できません。
ただし、ドーパミンも同じように減少しております……

さて。
こうした事実を踏まえれば、
『AERA』の記事には信憑性があるように思えてしまうかもしれません。
秋田県で自殺が多いのは農薬が原因――
それどころか、
日本が自殺大国になったのも農薬のせいと主張する方すらいらっしゃる。 (>_<)

でも、果たしてそうなのか?
繰り返しますが、農薬が安全だなんていう積もりはございません。
しかし、私は必要以上に農薬を敵視しようとも思わない。
事実を冷静に判断する――
それが私のモットーです。
そこで、『AERA』の記事に対する疑問を挙げてみましょう。

■ 汚染レベルは危険なのか

空中散布された農薬が大気を汚染しているのは事実ですが、
それがヒトの健康を害するほど危険なレベルなんでしょうか?
それを判断する基準に気中濃度評価値というものがあります。
これ以下の濃度なら一般的に健康に好ましくない影響が生じることはない――
そう考えられる数値が気中濃度評価値で、
農薬散布に関しては、
1997年に「航空防除農薬に係る気中濃度評価値」(環境庁)がまとめられています。

その中で、フェニトロチオンの気中濃度評価値は 10μg/㎥ となっています。
そこで新潟県の空中散布の例を見直していただきたいのですが、
フェニトロチオンの濃度は最大でも 2μg/㎥ です。
ということは。
たとえ空中散布されたとしても、
それがヒトの健康を害するとは必ずしもいえない――ということではないでしょうか?

実際、フェニトロチオンが何らかの中毒症状を示すのは、
気中濃度が 20~100μg/㎥ というレヴェルになった場合のようです。
しかし、空中散布でこれほどの高濃度になることはありません。
そこで国際化学物質安全性計画(IPCS)が作成した環境保健クライテリアでも、
フェニトロチオンは次のように結論されている(EHC No.133. Fenitrothion)

  主に農業、林業、公衆衛生活動による一般集団への暴露で、
  健康への危害はない。
              

「公衆衛生活動」とは公園や街路樹への散布などを指していますが、
広く害虫駆除のために屋外に散布されたフェニトロチオンで、
一般の方が健康を損なわれる懸念はない――
こうしたリスク評価を冷静に受け止めるべきでしょう。

ところが反農薬派の方々は、
気中濃度評価値は”甘すぎる”と批判しております。
例えば同じ有機リン系殺虫剤のダイアジノンの場合、
気中濃度評価値は 1μg/㎥ とされています。
ただし、厚生労働省のまとめた室内濃度指針値は 0.29μg/㎥ となっている。
一見すると、確かに気中濃度評価値は”甘い”ように感じられますが、
これは双方の基準の違いに起因します。

室内濃度指針値は、毎日吸う空気の質を守るための基準です。
それだけに厳しい。
しかし、農薬の空中散布が毎日行われるわけじゃないでしょ?
空気を汚染するのも短期間なので、
室内濃度指針値ほどの厳しさを求める必要はないんです。
農薬を吸ってるなんて考えるとゾッとするかもしれませんが、
体内で解毒されるので大丈夫――というのが気中濃度評価値です。

しかし、それでも反農薬派の方々は納得しない。
解毒能力には個人差があり、
農薬に対して感受性の強い人たちがいる。
その典型例として持ち出されるのが化学物質過敏症です。
こういう高感受性の方々はもっと低い濃度で影響を蒙ると主張していますが、
農薬散布を自殺死亡率の高さに関連付けようとした場合、
農薬に脆弱な方が秋田県に図抜けて多いというデータなんか見当たりません。
そして恐らく……
そういう事実はないと思うのです。

■ 農薬が自殺の原因なのか

それでも農薬が自殺を誘発しているといえるのか?
もしそうだとしたら、
農薬の使用量の多い時期に自殺も集中することでしょう。
殺虫剤の使用量が多いのは虫の多い夏です。
富山県衛生研究所の調査でも、
代謝物の尿中濃度が高くなるのはやっぱり夏でした。
それでは、自殺も夏に多いのでしょうか……

図をクリックすると拡大します
suicide-13

これは秋田県警のまとめた月別自殺者数のグラフです。
年によって若干の違いはありますが、
3月~5月に自殺者が多いことがお判りになるでしょう。
つまり、自殺は春に多い――
これは秋田県だけの特徴ではなく、
全国的に自殺は夏ではなく春に多いのです。
ということは。
農薬とはあまり関係がないということじゃありませんか?

本橋豊先生(秋田大)は、
秋田県内の高齢者の自殺とうつ病の関係に注目し、
うつ病尺度得点の高い町では自殺死亡率も高いと指摘しています。
先生は秋田大学自殺予防研究プロジェクトの中心メンバーとして活躍していますが、
プロジェクトでは農薬説には一言も触れていない。
うつ病を誘発し、ひいては自殺にはしらせる要因に、
農薬は数えられていないのです。

調べれば調べるほど、
もっともらしく思えた『AERA』の記事は怪しくなっていきます。
しかし、読んだ方の多くはこう感じるはず――
  農薬って怖いのね!!!
書かれている内容が真実であろうとなかろうと、
メディアの影響力はとてつもなく大きい。
私には、そちらの方がよっぽど恐ろしいことのように思えます。

最後に。
日本に【化学物質過敏症(CS)】という言葉を広めた”功労者”は、
北里大学名誉教授の石川哲先生です。
その影響力はとても大きく、
【化学物質過敏症(CS)】を語る基本的な”骨格”は、
石川先生によって築かれたといっても過言ではありません。
ただご専門が有機リン中毒だったため、
原因物質として有機リン化合物が過大視されすぎている――
個人的には、そう感じています。

今日に至ってもこの状況は変わらず、
有機リン化合物が諸悪の根源であるかのように主張する方が少なくない。
【化学物質過敏症(CS)】の患者会は、
しばしば反農薬の急先鋒となっております。
実は、『AERA』の記事に書かれている事も、
こうした方々の主張そのもので、
それを秋田県の自殺問題に結び付けただけです。

でも……
有機リン化合物は唯一の原因物質ではなく、
数ある原因物質の一つに過ぎないはずです。
はじめに有機リンありき――という発想は妥当ではないのではないでしょうか?
自殺という問題を考える場合にも、
他にももっと重大な問題があるのなら、
そちらを重要視すべきです。

ところが、メディアは農薬が危険だと書きたてる。
汚染された空気を吸うと脳に異常が生じると警鐘を鳴らす。
自殺、引きこもり、不登校――
全て農薬が原因かもしれないと囁く。
都合の良い医師の主張を引き合いに出し、
上手に科学的装いを演出することも忘れません。

その結果。
自分が体調不良なのは農薬のせい――?
自分も化学物質過敏症なんじゃないか――?
そう考える方が出てきてもおかしくないのではないでしょうか。
一口に【化学物質過敏症(CS)】の患者といっても、
そこには様々なタイプの方が混在しているのが実情。
中には、化学物質とは関係がないのに、
自分もそうだと信じ込んでしまっている方もいるようです。

  ある特定の医師やメディアなどによって
  「自分は化学物質に反応している」と刷り込まれた者


そういう方が含まれていると分析する研究者もおりますが、
恐らく、その指摘は正しいのかもしれません。


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