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精子は花の香りがお好き?-匂いの不思議-

2009 - 10/10 [Sat] - 23:59

台風が過ぎた後、急に寒くなりました。
仕事場はエアコンで暖房しないと寒いくらいです。
でも「FPの家」の中はホカホカ。
仕事場も「FPの家」だったら良かったのに。
さすがに、それは贅沢すぎるかな……

さて、話しを始めましょ。
まずは1枚の写真をご覧ください。

モンシロチョウ

これはモンシロチョウです。
美味しい花の蜜を吸っている真っ最中です。
ただし広い野原の中から、どうやって花を見つけ出したのでしょう。
飛んでいたらたまたま見つかった……
でも、それだと効率が悪すぎませんか?

実は、匂い(smell)で嗅ぎわけているのです。
モンシロチョウの摂食行動を誘発する匂いの一つは、
フェニルエチルアルコール(PEA)という化学物質です。
これはアブラナ科の香り成分で、
モンシロチョウが菜の花に集まるのはこの PEA が原因です。
PEA はバラ科の香り成分としても有名ですから、
バラやイチゴの花もモンシロチョウの”大好物”なんでしょう。
どの香り物質に誘引されるかは蝶によって違っており、
ギフチョウはフェニルアセトアルデヒド(PAA)がお好きなようです。

でも、蝶には”鼻”がない?
いえいえ、それがあるんです。
蝶の匂い受容体は触角に付いています。
まさに、触角は匂いを嗅ぎわけるアンテナというわけですね。
構造はちょっと違っていますが、
7回膜貫通型タンパク質を利用するのは哺乳類と同じ。
そして触覚に匂いセンサーがあるという点も、
私達哺乳類と同じです。
えっ、人間には”触角”なんかない?
いえいえ、それがあるんです。

匂い物質は鼻腔の奥にある嗅細胞(olfactory cell)にキャッチされます。
この嗅細胞の先端には、
直径わずか0.2μmという細い嗅繊毛が無数に生えています。
毛髪の直径が約100μmだそうですから、
その500分の1という細さです。
この細~~~い嗅繊毛に匂い受容体(olfactory receptor)はあります。
このタンパク質に匂い物質がくっ付くことで、
蝶に限らず私達人間も匂いを感じているわけ。
でも、どうして匂いを感じるんでしょうか?
その仕組みを簡単に紹介しましょう。

図をクリックすると拡大します
タンパク質-6

【図】を見ながら、匂いを感じる順を追っていきましょう。
まず匂い物質(Ligand)が受容体に捕捉されます。
人間の匂い受容体は約350種類ありますが、
受容体ごとにキャッチする匂い物質は違います。
これは前回も話した通り。
そして匂い物質が【ファーストメッセンジャー】となり、
嗅細胞内で化学反応の連鎖が始まります。

匂い受容体の細胞内ドメイン(IC)には、
Gタンパク質が結合するサイトがあります。
Gタンパク質とは GTP (グアノシン三リン酸)が結合したタンパク質で、
7回膜貫通型受容体には必ずこのGタンパク質が結合しています。
嗅細胞に結合するGタンパク質は略してGolf

そこで7回膜貫通型受容体は、
Gタンパク質共役受容体(G protein-coupled receptor)と呼ばれることもあります。
これを略した表記が GPCR です。
匂い物質がこの GPCR に結合すると、
Golf は受容体を離れてアデニル酸シクラーゼ(AC)という膜タンパク質に移動します。

AC は酵素の一つで、
アデノシン三リン酸(ATP)からピロリン酸(二リン酸)を引き抜き、
環状グアノシン一リン酸(cAMP )に変えます。 「サイクリックAMPと読みます
すると cAMP CNG に結合します。
CNG はイオンの通り道の一つ。
こうしたイオンの通り道をイオンチャネル(イオンチャンネル)といい、
これも細胞膜を貫通するタンパク質の仲間です。
そして cAMP が結合すると、この”ゲート”がパカッと開きます。

すると細胞の外から中に向かって、
ナトリウムイオン(Na+)やカルシウムイオン(Ca+)が一気に流れ込んできます。
その結果、細胞の電位が上がる。
専門的には脱分極といい、
つまり細胞が興奮状態になるわけです。

こうして匂い物質という【ファーストメッセンジャー】が、
Golf という【スイッチ】を入れます。
そのシグナルが AC で増幅されるので、
これを【エフェクター】といいます。
細胞内シグナルは【セカンドメッセンジャー】である cAMP にリレーされ、
これが”ゲート”を開けて細胞の電位を上げる――
こうした化学反応の連鎖が一瞬にして起こるのです。

ただし CNG が1ヶ所開いた程度で、
たいして大きな電位変化は生じません。
そこで Ca+ に触発されて、CAC というイオンチャネルも開きます。
すると細胞内の塩化物イオン(Cl)が外に流出するので、
電位はさらに上がります。
するとこうした電位変化を察知して、
たくさんの電位依存性イオンチャネルが一斉開放する。

これだけあればもう十分!
嗅細胞は活動電位(action potential)を生じ、
この電気シグナルが嗅神経(olfactory nerve)を流れます。
嗅神経は頭蓋骨を貫通して脳を興奮させるので、
こうしてはじめて――あっ、匂いがする!
私達が匂いを感じるときには、
こうした複雑な化学反応が一瞬にして起こっているのです。
凄いと思いませんか?

しかし匂いを感じる仕組みが明らかになったのは、
意外なことに、つい最近のことです。
遺伝子解析の結果、1991年に匂い受容体の存在が指摘され、
実際に匂い物質と結合するのが確認されたのは1998年のこと。
嗅覚はまだまだ謎だらけ――
新しい発見が続いている最先端分野の一つなんです。

そんな中から、興味深い話題を一つ紹介しましょう。
匂い受容体があるのは、実は鼻だけではありません。
ナンと、精子にも匂い受容体が存在することがわかりました。
かつて、環境ホルモンが大騒ぎされたのを覚えていますよね?
これが原因で性ホルモンの働きがかく乱され、
精子も元気がなくなっちゃうと心配されました。
ところが精子が匂い受容体を持っているとなると、
匂い物質が精子を不活性化させる可能性も出てきます。

人間の精子が持っている受容体は hOR17-4 と名付けられ、
これで匂いを嗅ぎわけながら卵子に向かいます。
つまり走化性、あるいは化学走性という性質を持っているのです。
では精子を誘引する化学物質は何か。
興味ありませんか?

以前から、精子を活性化する化学物質があることは知られていました。
そこで精子の誘引物質も、
エストロゲンやプロゲステロンのようなステロイドではないか?――
そう想像されてきたのですが、
hOR17-4 のリガンドは全く違いました。
明らかになったのは、シクラマール(cyclamal)ブルゲオナール(bourgeonal)
2つとも芳香族有機化合物です。

タンパク質-7

シクラマールは「シクラメンアルデヒド」ともいい、
その名の通りシクラメン様の香りがします。
スズランの香りを調合する際にも欠かせません。
スズランはフランス語でミュゲ(muguet)と呼ばれ、
その可憐な様は【聖母マリアの涙】に喩えられてきました。
ユリ科の花ですが、
もう一つのブルゲオナールもユリ様の香りがする化学物質です。
ということは……

精子はユリ科の花の香りに誘引される――

これを聞いて、「なんてロマンチックな話!」って早とちりしないでくださいね。
残念ながら、シクラマールやブルゲオナールは合成化学物質です。
天然の花からは見つかっていません。

そうなると、本来のリガンドと考えるには無理があります。
たまたま構造が似ていたのでくっ付いただけでしょう。
それでは、内因性のリガンドはいったい何?
そこで hOR17-4 に結合する化学物質を見てみましょう。

図をクリックすると拡大します
タンパク質-8

緑色のエリア hOR17-4 を活性化するアゴニスト。
反対に、赤色のエリアは不活性化するアンタゴニストです。
アゴニストには合成化学物質らしきものが目立ちますが、
この中で私が注目するのはフェニルアセトアルデヒド(PAA)――です。

ここで最初の話を思い出してください。
PAA が還元されればフェニルエチルアルコール(PEA)です。
モンシロチョウの摂食行動を誘発する化学物質でした。
PAAPEA は昆虫の交信物質として広く利用されています。
PAA の別名は「ヒヤシンスアルデヒド」。
やっぱり花の香り成分として有名なものですが、
この化学物質を生合成するのは花だけではありません。

フェネチルアミン(フェニルエチルアミン、フェネチラミン)は神経伝達物質の一つ。
アミノ酸の一つ、フェニルアラニン(Phe)の脱炭酸で生合成されます。
これがモノアミンオキシダーゼ(MAO)に酸化されれば PAA となり、
さらに酸化されればフェニル酢酸になります。
このフェニル酢酸を人間のフェロモン物質と考える研究者もいるくらい。

フェニル酢酸といえば植物にとっても重要な化学物質です。
成長を促す植物ホルモン、オーキシン(auxin)の一つとして有名ですが、
高濃度になると伸長を抑制するという逆の作用を示します。
こうした作用を応用したのが、
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)という合成オーキシン剤です。
あるいは、ベトナム戦争で用いられた【枯葉剤】という方が有名でしょう。
ただしイネ科の植物には影響しないという利点を持っているため、
日本の水田でも広く利用されている除草剤の一つです。

オーキシン
オーキシンとして最も有名なのはインドール酢酸です。
最初にヒトの尿中から発見され、1946年に植物中に存在することが確認されました。
ただしオーキシン作用を示す物質はこれだけでなく、
フェニル酢酸も天然オーキシンの一つです。
また人工的に合成されたオーキシン剤もあり、2,4-Dがその代表的なものです。
ベトナム戦争で使用された枯葉剤は、2,4-Dと2,4,5-Tの混合剤でした。


フェニルアラニンやチロシンから生じる化学物質は、
とても興味深い働きをしています。 ドーパミンもその一つ
多方面の情報から総合的に推測すると、
生命にとって【本源的な化学物質】に思えてなりません。
人間の誕生に関わると考えてもおかしくないでしょう。
でもこんな疑問をお持ちですか?

人間と昆虫、まして植物と同列に扱うなんて――

果たしてそうでしょうか?
みんな同じ生き物です。
関連性を持っていて、何も不思議はないと思います。
匂いセンサーだって昆虫と同じだったでしょ?
どう見ても”触角”にしか見えない嗅繊毛に、
やっぱり匂い受容体が付いている。

しかし他方では、多様性も持っています。
必要とする情報は種によって千差万別です。
最も代表的な例は餌でしょう。
食べ物が違えば、知りたい匂いも違うはず。
人間とチンパンジーの遺伝子情報はわずか数%の違い――
ところが、”匂い”に関しては大きく異なっています。
ほぼ同じ数の匂い受容体遺伝子を持っているにもかかわらず、
人間とチンパンジーには25%もの違いがあるそうです。

人間とチンパンジーを分けるのは匂い受容体の差

ちょっと乱暴ですが、そういえないこともありません。
これは求める情報が異なる結果であり、
この違いがヒトをヒトらしく、
チンパンジーをチンパンジーらしくするのです。
ひいては、脳システムの差に繋がっていくのでしょう。

嗅覚は人間で退化しているといわれてきました。
そのためあまり重視されない感覚でしたが、
【匂いの重要度】が低下したというわけではないようです。
外界の化学物質を的確にキャッチすることで、
私達も美味しい食べ物を手に入れたり、
あるいは家族や仲間のような味方とそうでない敵を識別しています。
意識的、無意識的に化学物質を使った情報収集を行っているわけで、
これを乱すことは脳機能にも影響を与えかねない――
私はそんな風に考えています。

嗅覚システムの解明は、まだ始まったばかりです。
今後の成果次第では、
これまでの”常識”を見直す必要が出てくることでしょう。
シックハウスや化学物質過敏症もその一つ。
【匂い】という問題が、意外に重要になってくるような”予感”がします。



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