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匂いは学習と記憶を支える

2009 - 10/20 [Tue] - 23:50

こんにちわ。
フランスの文豪プルーストの作品に、
『失われた時を求めて』という長編小説があります。
私は読んだことなんかないですが、
この作品の名前はよく知っています。

物語はこうして始まるそうです。
ある朝、ふと口にした紅茶に浸したマドレーヌの味から、
主人公は幼少期の記憶を鮮やかに思い出します。
ご存知の方も多いでしょうが、
嗅覚や味覚によって過去の記憶が呼び覚まされる現象を、
プルースト効果と呼ぶときがあります。
それはこの作品のエピソードに因んでいるのです。

このような作用があるのは、
嗅覚や味覚が視覚・聴覚に比べてより古い感覚で、
本能的な感覚であるからだと説明されるのが普通です。
でも、果たしてこうした理解は正しいのでしょうか?
今日はこの問題を検証してみます。

さて、始めましょう。
嗅覚はまだわからない部分が多く、
脳内の接続もとても複雑にできているようです。
そのせいか、資料によって説明がまちまち。
そこで私が理解している範囲で、
まずは嗅覚伝導路をトレースしてみましょう。

図をクリックすると拡大します
視床-3

嗅覚伝導路を理解するには、
意外に脳を真下から見上げるとわかりやすい。
それが【左図】です。
匂い受容体でキャッチした匂いシグナルは、
頭蓋骨を貫通する嗅神経を伝わって嗅球に伝達されます。
これは脳から突き出た”アンテナ”みたいな器官で、
ここからは脳底にへばりつくような状態で嗅索が伸びています。

嗅索は脳の中心部に向かい、
まず最初に野球用ヘルメットの耳あてのように垂れ下がった、
両脇の側頭葉から脳の本体にinputします。
ここには扁桃体海馬があり、
ともに嗅覚と強いつながりを持っています。
この側頭葉内側部が嗅覚に関係するエリアであることは確かで、
これまで梨状皮質(pyriform cortex)が【嗅覚野】とみなされてきました。

匂い情報が最初にinputする側頭葉内側部は、
大脳皮質でもより古い古皮質や旧皮質から構成されます。
いわゆる大脳辺縁系(limbic system)を構成する一部です。
生理学者マクリーン(MacLean)が1973年に【辺縁リング説】を唱えて以来、
大脳辺縁系は情動(emotion)の中枢と考えられ注目されてきました。
【情動】を一言で説明するのは不可能ですが、
自分にとって好ましいいか()、あるいは好ましくないか(不快)――
生物的評価を行った結果生じる”本源的な感情”とご理解ください。

匂い情報は理性の脳、つまり新皮質を経由することなく辺縁系を刺激します。
そして、そのシグナルは視床下部に伝達される。
ここは内分泌系と自律神経系の中枢であり、
本能行動を誘発すると同時に身体の恒常性を維持しています。
このような点を踏まえて、
匂いには自律神経を調節し、ストレスを和らげる効果がある――
アロマテラピーなどでは”匂いの力”をこう説明するのが定石です。

しかし、嗅覚伝導路は大脳辺縁系で終止しません。
側頭葉内側部から脳の中心部を経由し、
さらに進んで前頭前野(prefrontal cortex)に向かいます。
嗅覚伝導路が終わるのは前頭前野の中でも最底面、
特に眼窩前頭前野(orbitofrontal cortex)と呼ばれている部分です。
最近では、ここを真の【嗅覚野】と考える意見が多くなってきました。
そればかりか、
情動の最高中枢と考えられ始めています。
そうなると辺縁系を重視する方々にとっては都合悪いので、
ここも辺縁系の一部だと主張する人もいる。
とにかく、説明がまちまちなので素人は混乱してしまうのです。

いずれにせよ、
嗅覚情報が前頭前野にも送られているのは確かです。
そうなると、「新皮質に伝達されない」という理解は明らかな誤りで、
その役割を高次脳機能との関係で見直す必要があると思います。

ただし、前頭眼窩皮質に至る伝導ルートは2つ存在します。
【左図】の青い点線がそれ。
最初にお断りしておきますが、
経路上には視床、視床下部、側坐核などが書き加えられてあります。
しかし、実際には脳底から見えません。
そこで薄い透明色で表示したのですが、
小さくてわかりづらかったようです。 申し訳ない
脳の側面図も紹介しておいたので、
みなさんの頭の中で3次元に立体化してください。

ちょっと話しは横道にそれますが、
嗅覚の伝導路はドーパミン神経の投射部位にほぼ一致します。
腹側被蓋野から発射されるA10です。
脳幹のドーパミン細胞からドーパミンを分泌する――
そう説明されても言葉だけだとイメージが沸きませんが、
こうして眺めると、意外に狭い範囲に集中していることがわかります。
脳はとても合理的にできている!
改めて、感心します。

さて、嗅覚伝導路の続き。
前頭前野に至るルートは次の2つです。

  1.下行路(腹側路)→→→視床下部を経由する
  2.上行路(背側路)→→→視床を経由する

この内【下行路】が、より本能的な嗅覚伝導路と思われます。
人間なら誰でも硫黄臭を嫌うといいますが、
それは腐敗臭の一つだからです。
いわゆる、ゆで卵の腐った匂い。
【下行路】は天敵の匂いや食べ物の腐敗臭を感知するための嗅覚で、
先天的に備わった危険回避反応を誘発するのではないでしょうか?
最も本能的な防衛行動をコントロールする嗅覚です。
これは思考による判断を経ない緊急反応を可能にしますが、
その反面、硬直的で融通の利かない反応でしょう。
腐った匂いで吐き気を催しちゃう――でもこれは仕方ない。
万一毒だったら、急いで吐き出さないと生死にかかわります。

ただし何が天敵となるか、それは種によって異なります。
食料とする食べ物もまちまちです。
そうであれば、情報をキャッチする匂い受容体も違うのが当たり前でしょ?
遺伝子全体ではヒトとチンパンジーは数%しか違わないのに、
匂い受容体の遺伝子だけは25%も違っている――
前に紹介した話は、こう考えれば説明がつきます。
他人にとってはいくら重要な情報でも、
自分には意味のない匂いを察知できても価値はありません。
欲しい情報は種によって違う、だからセンサーも異なる。

  下行路は先天的反応に関わるデフォルトの嗅覚

デフォルトとは【初期設定】という意味。
オギャーと生まれた段階で、予め組み込まれているプログラムです。
そのおかげで、一通りの危険を回避できるというわけ。
ただし、それだけでは心もとない。
天敵から身を隠し、効率的に食料を獲得していくためには、
状況に応じたプログラムに変更していくことが欠かせません。
それが経験の積み重ねや文化の継承であり、
後天的な学習といえないでしょうか。
こうした修正作業に匂い情報を役立てるのが、
もう一つの嗅覚伝導路である【上行路】の存在意義です。

  上行路は後天的な学習に寄与する嗅覚

【上行路】は視床背内側核(MD核)を経由して、
前頭前野の一部である眼窩前頭前野にinputします。
私が注目しているのはこの【上行路】ですが、
ここは「原始的な感覚」の一言で済まされるような感覚路ではありません。
それどころか脳の高次機能と密接に関わっており、
シックハウス症候群や化学物質過敏症でダメージを受けるのも、
この【上行路】ではないかと想像しています。

それでは、眼窩前頭前野はどんな仕事をしているんでしょう?
残念ながら、詳しいことはまだわかっていません。
ここは脳の中でも最も解明が遅れている”暗黒大陸”です。
しかし、わかってきたこともあります。
それをご紹介しましょう。

視床-4

これは理化学研究所が今年の夏に発表した最新データで、
サルを使って前頭前野の機能を調べた研究です。
前頭葉の機能評価に用いられたのは、
WCST(Wisconsin Card Sorting Test)というもの。
先日も出てきましたが、ここではサル用に改良したものを使ったようです。

それでは【グラフ】を見てみましょう。
細かい説明は省きますが、
縦軸は報酬が得られる答えを選択できた正答率を示します。
この試験で有意差が現れたのが、問題の眼窩前頭前野です。
ここを手術で切除してしまうと、正答率が極端に低下する。
そこで眼窩前頭前野の機能を推測すると……

  刺激や物体と報酬との連合を形成する

一言でいえば、これこそが【学習】に他なりません。
ただし、別に知的好奇心から学ぶわけじゃ~ない。  
行動の結果を次の行動に活かし、より多くの報酬を手に入れるのが目的です。

つまり、【行動の最適化】に関与するわけですが、
視床MD核の破壊でも全く同じ行動障害が生じるといいます。
例えば正常なラットの場合には、
行動によって生じた結果を踏まえ、次回の行動を最適化していきます。
そうすれば、餌をたくさんgetできる。
ところがMD核に病変のあるラットには、それが出来ません。
眼窩前頭前野に情報を送るMD核の機能が損なわれた場合にも、
やっぱり学習機能が低下してしまうのです。

こうした高度な学習を行っていく上で、
嗅覚は欠かせない情報を提供しているようです。
決して、古い本能的な感覚なんかじゃない!
おまけに、【学習】と【記憶】は不可分の関係にあります。
嗅覚は記憶にも関わるのです。

せっかく学んだデータを捨ててしまうのはもったいない。
脳内の”フォルダ”に大切に保管され、
必要に応じて引き出して、新たな学習に利用します。
こうすることで、応用力が生まれるわけですね。
その際、長期保存されている過去の膨大な記憶の中から、
何を引き出すか選択するのは前頭前野の仕事です。 海馬は関わりません
これこそ、プルースト効果そのものではありませんか?

匂いを手がかりに過去の記憶が鮮やかに思い出されるのは、
嗅覚が本能的な感覚だからではないのでしょう。
母親が赤ちゃんを識別するのに、
匂い情報を手がかりにしていたことを思い出してください。 こちらです
過去の記憶を呼び出す際にも、匂いが重要な手がかりになるのです。
主役の座を追われた”窓際の感覚”どころか、
最も高度な仕事をする超エリートであることの証です。

それでは。
ここまでの話しに納得していただいたとして、
同じことを逆から考えてみてください。

 匂いに過敏になるとどうなってしまうのか

連合機能に支障が生じるだろうって、容易に推測できませんか?
「単なる気のせい」で済まされる問題ではありません。
臨機応変の行動が学習できないわけですから、
本人は一生懸命やっているのに、なにごとも上手くいきません。
脳内には不適切な連合ばかりが形成され、
不安が蓄積されていきます。
その結果、連合学習の集大成である育児にも支障を生じるのです。
子育てが上手くいかないので、それを苦にしてさらに落ち込みます。
楽しいはずの子育ては、いつしか自分を苦しめる重荷になるでしょう。
子供の匂いが妙に気になりだしたら、危ない信号かもしれません。

ところで。
化学物質過敏症の有力な仮説の一つに、
キンドリング仮説というものがあります。
キンドリング現象(kindling)は”燃え上がり現象”ともいわれ、
微弱な電気刺激を繰り返すことで時間依存的に反応が増幅され、
数週間後には同じ電気刺激で神経の異常発火を誘発する現象です。
てんかん発作のモデルと考えられており、
側頭葉で起こるのが【側頭葉てんかん】です。

興味深いことに、側頭葉てんかんの発作時には、
不快感を伴う幻嗅(アウラ)を感じるといいます。
さらにまた、キンドリング現象は化学物質の反復投与でも誘発できます。
そこで R.Bell らは、化学物質過敏症もキンドリング現象の一つと考えました。
普通はなんともない微弱な匂い刺激でも、
これを繰り返すことで反応が増幅されて匂いに過敏になる――
大脳辺縁系が過剰に活動するのが化学物質過敏症だというのです。

しかし”匂い”というキーワードに注目した点は評価できますが、
多くの疑問点があるように感じます。
最も致命的な問題点は、
シックハウス程度の濃度でキンドリング現象が起きないということ。
てんかん患者が化学物質過敏症になりやすいという事実もありません。
次に第2点。
てんかん発作で起こるのは、匂いの”幻覚”である幻嗅です。
さらに、てんかん発作はあくまでも一時的な異常発火です。
慢性的に嗅覚が敏感になる過敏症とは、
明らかに異質のように感じます。
そして第3点。
キンドリング現象で匂い過敏は説明できるとしても、
全ての感覚が過敏化する現象をどう説明するのでしょう。
同じ化学感覚である味覚ならともかく、
視覚が過敏になるのはなぜ?
聴覚は? 
痛覚は? 
慢性的な疲労感をキンドリング現象では説明できません。

匂い過敏という【結果】をもたらす【原因】を、
同じ”匂い”に求めてしまったのが Bell の誤りです。
匂い過敏になるのは匂い刺激を繰り返すからではありません。
化学物質によってドーパミン神経の働きが乱されてしまうため、
感覚のゲーティングが破綻してしまうのが【原因】でしょう。

その結果、大脳辺縁系は過活動となります。
しかし、うわべの現象に惑わされてはいけない。
シックハウス症候群、そして化学物質過敏症という”事件”は、
ドーパミン神経と嗅覚の最終ゴールである前頭前野で起きています。
前頭前野の機能低下こそが根本的な問題で、
学習や記憶といった脳の高次機能が阻害されてしまうのです。
こうした点を踏まえれば、
Claudia S.Miller の毒性誘引耐性喪失.という仮説の方が、
キンドリング仮説よりも妥当のような気がします。

【原因】と【結果】を混同するのは間違い。
匂い過敏の原因は匂い刺激――これではあまりにも単純すぎると思います。
匂いに過敏になるのはあくまでも【結果】であって、
匂い刺激そのものは無害です。 悪臭レベルになると公害ですが……
日常的に感じる匂い刺激程度では、
化学物質過敏症の【原因】になる心配はないでしょう。

そんなの、言われなくってもわかってる!

それなら良いのですが、
化学物質過敏症と同じような問題は他にもあります。
電磁波過敏症――
こちらの場合にも、【原因】と【結果】が混同されていないでしょうか?



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