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オーガニックは”天然”じゃない・・・?

2010 - 07/01 [Thu] - 16:54

前々から気になっている言葉があります。
オーガニックソルト――えっ~~~~!!!

organic-salt
差し障りがあるので、商品は伏せます

「オーガニックソルト」を英語で表記すれば【organic salt】でしょう。
となれば、これは「有機酸塩」を意味します。
炭化水素(hydrocarbon)にカルボキシル基が付いた化学種が有機酸ですが、
その塩化物ということです。
身近なものでは、安息香酸Naなんていうのがそれ。
食品に添加されている保存料です。

ところが、どうもそうではないらしい。
先ほどのオーガニックソルトの成分はといえば、
NaCl(95%)、Ca(0.09%)、Mg(0.007%)、K(0.003%)――
こりゃどうみても塩(塩化Na)以外の何者でもありません。
同じ漢字が用いられていますが、
有機酸塩の場合は「えん」と読み、こちらは「しお」です。
でも「しお」なら organic じゃございません。
organic ではなく inorganic です。
辻褄があわないでしょ?

怪訝に思いながらネットを検索すると、
こんな説明を発見しました。

工業の副産物として作られた塩は、採りすぎると身体に良くありません。
これは天然塩ですから、美味しい上に健康になります。


オーガニックソルトを【天然塩】と訳しております。
ここで、私は考え込んでしまった (@_@.?
organic に「天然」とか「自然」という意味があったのか?
ところが、辞書を調べても載ってません。
イッタイゼンタイどうなってるの!!!

そこで今日は、
オーガニック(organic)を考えてみることにしましょう。
最近よく使われる言葉ですが、
意外とその正しい意味を知らない方が多いようです。

さて。
前回、デカルトの機械論を紹介しました。
この衝撃的な主張を受け、当時の文化界は騒然となります。
もちろん、デカルトの主張に異議を唱える者が多く、
ガッサンディ(Gassendi)という人は、
動物も【物質的魂】を持っている――
だから、機械なんかじゃないと主張しました。

デカルトは物理学の”運動”という観点から、
動物が時計のような機械と異ならないと主張しました。
しかし、動物の温かい肉体と機械の冷たい躯体は違うじゃないか!!!
機械が肉体を合成することができますか――?
これは誰もが抱く素朴な疑問ですが、
この問題に物理学で答えを出すことはできません。
化学の知識が必要とされます。

そこでデカルト批判の急先鋒として知られているのが、
化学者であるゲオルグ・エルンスト・シュタール(Georg ernst Stahl)です。
彼は疑問を投げかけます。
生命体は機械のようにバラバラになったりしない――
機械は腐食するが、生命体は生きている間に腐敗しない――
だから、機械と命あるものは違う。
シュタールは生命体に【organism】の語を充て、
これを命のない機械(machine)と区別したわけです。
それでは、この違いはどうして生じるのか?
シュタールはこういう風に説明しております。

生命体を一つにしているエネルギー、
これは生命体に命を与えるエネルギーに他ならないわけであるが、
それは soul である。


【soul】という言葉が出てきましたが、
みなさんにはもうおわかりのはず……
これはギリシア語の psyche やラテン語の anima と同じ言葉です。
つまり、生命体は体内に anima を有していると考えたわけ。
これを生気論(vitalism)といいますが、
シュタールの anima説は、”古典的生気論”の単純な復活ではありません。
最新化学に基づいた新しい生気論であるわけで、
【霊魂】ではなく【生命力】と理解すれば宜しいのかと思います。
新しい生気論の重要なポイントは、
生命力を有するものにしか生命体を構成する物質は合成できない――
だから、機械と動物、機械と人間は違うというのです。

彼の主張はこの後1世紀に渡ってヨーロッパの”常識”となり、
19世紀初頭のブルーメンバッハ(Blumenbach)を頂点とします。
彼は生命体の形態が物理的・化学的な力のみではなく、
生命体特有の因子によって決まると主張しました。
しかし、これが生気論の最後の輝きだった……

ブルーメンバッハと同じ時代、
近代化学の基礎を築いたのがベルセリウス(Berzelius)です。
彼が元素記号をアルファベットで表記する方法の考案者。
同時に、シュタールの主張した”体内でしか合成されない化合物”に、
有機物(organic compound) という名称を与えたのもベルセリウスでした。

もともと organic は「道具」を意味するギリシア語の organon に由来していますが、
転じて「身体の器官」を意味するようになります。
例えば英国のホッブスには― organs of sense ―という表現が見られますが、
この場合は「感覚器官」と訳すのが妥当でしょう。
ここからさらに拡がり、やがて「身体全体」を意味するようになり、
「身体を構成する物質」に【organic compound】という言葉が充てられたわけです。

そしてこの言葉には、もっと深い意味が込められていた!!!
身体を構成する物質を合成できるのは生命体だけであり、
それは生命体が生命機能を有しているから――
そこで日本語では、【organic compound】を【有機物】と訳します。
これとは反対に、生命機能のない物質は無機物(inorganic)となり、
食物中に含まれる微量の無機物をミネラル(mineral)と総称します。

しかし、弟子のヴェーラー(Wöhler)がある発見をした。
無機物であるシアン酸アンモニウムを加熱して、
尿素という有機物を合成してしまったんです。
この実験は、1828年、論文として発表されました。
ただ、今でこそ歴史的大発見と評価されていますが、
意外にも、当時はそれほど騒がれなかったらしい。

これは無機物から有機物、つまり動物質を人工的に造った例です。

彼の表現は簡潔にして控え目で、
あくまでも例外的な一事例と考えていたようです。
これだけで生気論が否定されたわけではありませんでしたが、
時代は堰をきったように動き出します。

ヴェーラーの一番弟子がヘルマン・コルベ(Hermann Kolbe)です。
彼は次々に有機物を合成していきました。
1845年には最も重要な有機物の一つである酢酸の合成に成功し、
その数年後にはサリチル酸を”石炭”から合成してみせました。
こうして、シュタールの唱えた生気論は確実に息の根を止められていった!!!
生命体は一般的な化学法則に従う化合物の集合体に過ぎませんでした。
有機物には特別な力などありませんでした。
生命体を覆い隠してきた神秘的なヴェールが、また一つ剥ぎ取られたんです。

図をクリックすると拡大します
organic-5

コールタールを蒸留するとクレオソート油が得られます。
このとき副成するのがフェノール(石炭酸)ですが、
そのフェノールにカルボキシル基を置換することで、
有機物であるサリチル酸が合成されます。
この反応はコルベ・シュミット反応と呼ばれていますが、
Na塩(フェノキシド)に二酸化炭素を求核攻撃させるのがポイントです。

フェノキシドには非共有電子対がありますが、
言ってみれば、”椅子のない電子”のようなものだとお考え下さい。
一方、二酸化炭素には”余った椅子”があります。
図の中では、これを 赤い●印 で表記しておきました。
すると”椅子のない電子”は二酸化炭素の”余った椅子”に座ろうとするわけで、
これを【求核攻撃】と呼んでいます。
反応式に示される 矢印 は、電子(e-)2ヶの移動を示しています。

さらに続きます。
サリチル酸を還元すればサリチルアルデヒドになりますが、
1876年、パーキン(Perkin)という化学者は、
このサリチルアルデヒドから2-クマル酸の合成に成功します。

図をクリックすると拡大します
organic-6

見やすいよう、
図の中ではサリチルアルデヒドが簡略化されているのをご了承下さい。
この反応はパーキン反応と呼ばれていますが、
やっぱり炭素上に負電荷を有するカルバニオンによる求核攻撃を利用したものです。

まだ続きます。
パーキン反応で得られた2-クマル酸が分子内で脱水縮合し、
閉環してδラクトン化すればクマリンとなります。
そうです、香り物質として紹介したクマリンなんです。
1882年フランスのウビガン社は、人工合成されたクマリンを用いて、
『フジェール・ロワイヤル(Fougère Royale)』という香水を発表します。
こうして”石炭”から大量生産されるクマリンを用いることで、
安価で高品質な香水が庶民の手に入るようになりました。

まだまだ終わらない。
有機物の人工合成により、医療界にも革命が起きました。
サリチル酸は柳に含まれる薬理成分として知られており、
その名前も柳の正式な学名 Salix alba に由来しております。
古来より解熱・鎮痛剤として知られてきましたが、
強い酸性物質のため、激しい胃痛を生じるのが欠点でした。
そこでサリチル酸をアセチル化し、
副作用をなくしたアセチルサリチル酸が人工合成され、
1897年、ドイツのバイエル社が販売開始。
これが世界最初の合成医薬品で、
安価で高品質なお薬を庶民も入手できるようになったんです。
みなさんも使っていませんか?
その薬の商品名が『バファリン』で、
アセチルサリチル酸はアスピリンの名で親しまれています。

余談ですが。
アスピリンほど華々しいデビューを飾ったお薬はございません。
これが出現した当時の拍手喝采たるや凄まじく、
世界最先端の”テクノロジー”でした。
第一次世界大戦で勝利したアメリカは、
ナンと、その製造権と商標権を戦利品として奪ったほど。
さらに後日談があって、
バイエル社は歳月と大金を投じて、
アメリカからアスピリンの権利を買い戻しております。
まさに、歴史を動かしたお薬なんです。
今でも現役として使用されていますが、
間違っても、アスピリンを小さいお子さんに呑ませちゃいけませんよ!!!
急性脳症を誘発する可能性が指摘されています。
『小児用バファリン』の成分はアセトアミノフェンなので心配ありませんが、
中にはいらっしゃるんです。 (+_+)
大人用の『バファリン』をお子さんに呑ませちゃう方が……

話を元に戻しましょう。
有機物(organic compound)は、”特別な化学物質”としての権威を失墜しました。
有機物は人工的に合成することができる――
もはや、生命体の独占品ではございません。
今日、【有機物】という言葉が用いられる場合には、
単に炭化水素化合物(hydrocarbon)という程度の意味しかありません。
ところが!!!
いまだに”特別な化学物質”と信じる方がいる。
こうした有機物崇拝の陥りやすい問題は、
すでにシュタールに見て取れます。

シュタールは、anima をしばしば「自然」という意味でも使用しています。
あらゆる自然界の生命現象は anima の支配下にあり、
それゆえ合目的的で、絶妙な調和が取れているというのです。
人間も自然のシステムに身をゆだねれば、
悪い方向に進むことはありません。
病気もまた然り。

シュタールは医師による治療行為を否定します。
病気のときに熱や炎症を生じるのも自然現象の一環に他ならない。
いってみれば【自然治癒力】というわけで、
熱を下げ炎症を抑えることは自然に逆らう行為だというのです。
人間は体の中に医師を持つ。自然治癒力こそ医師である――
いまだに同じような主張を耳にしませんか?
ただこれは程度の問題で、
体温が44℃を超えるとタンパク質の変性が始まります。
これを放置したら大変!!!
脳虚血時にも脳温を意図的に32~34℃に下げることで、
脳へのダメージを緩和する脳低温療法の効果が報告されています。

自然を過信しすぎるのはとても危険だと思いませんか?
こうした発想の行き着いた先が、
”新錬金術”といっても良いでしょう。
生気論が輝きを放つ最後の瞬間に、
ハーネマン(Hahnemann)は『オルガノン』を著しました。
彼の主張を要約すればこういうこと。
類似した物は類似した病を治す――
つまり、毒をもって毒を制するということでしょう。
薄く希釈した毒物を服用することで、
身体に備わる自然治癒力を高めるという医療を提唱しました。

これをホメオパシー(homoeopathey)といいますが、
その実際の効果の程は意見が分かれています。
少なくとも科学的研究では効果は確認されておらず、
疑似科学と見なされているようです。
ところが自然を美化する方は、
結構、いまだに信じちゃったりする……

自然は全て良い方向に作用する――
実は、アリストテレスもそう考えていました。
思い出してください。
プシュケー(psyche)を有するから、
植物は植物になり、
動物は動物になり、
人間は人間の姿形に成長する。
これはそうなるべき【目的】が備わっているからで、
内在的目的性が実現された最終完成態を、
アリストテレスはエンテレケイア(entelekheia)と呼びました。
だから自然は美しい……となる。

でもこうした考えは、もはや古いと思うのです。
自然が”神”の創造物で、
全てが良い方向に調和するようにプログラムされている――
百歩譲って、”神”が存在するとしてもいいです。
しかし、その”神”は決してお優しい方ではなく、
けっこう気まぐれな性格のようです。
最新の分子生物学は分子レヴェルで生命現象を解明しようとしていますが、
生体分子の挙動は確定的ではなく、確率的らしい……
つまり、【偶然】に支配されているんです。

そこで、こう考えられないでしょうか。
同じ化学物質が好ましい方向に作用するか――
あるいは、好ましくない方向に作用するか――
これを決定するのは、天然物であるか人工物であるかという点ではありません。
そんな重箱の隅をつつくようなことではなく、
生体内の濃度次第でどちらに転ぶかが決まります。
いってみれば、”確率変動”みたいなもの……? 私はパチンコをしませんが (p_-)

どうぞ、”オーガニック”を過信しすぎないで下さい。
大切なのは、バランスです。
どんなに良いものでも、バランスを無視すれば健康を害します。
過剰摂取して健康に良くないのは、
工業的に生産された塩(NaCl)であろうと、
自然由来の塩(NaCl)であろうと同じことです。

最後に。
それにしても、
どうして organic を「自然」とか「天然」と訳すのか?
私なりの推理を紹介しておきます。

オーガニックが注目された先駆けは、
20世紀初頭に始まる伝統農業の復活運動ではないでしょうか?
当時のヨーロッパでは無機物の肥料や農薬が使用されており、
地力の衰えによる土壌浸食が問題になっていました。
こうした危機感の中で注目されたのがアジアの伝統農業で、
そこでは堆肥などの有機物が使用されていました。
これを有機農業(organic agriculture)といいます。

やがて有機農業の実践が、ヨーロッパにも浸透していきました。
その収穫物は「有機農業で栽培された農作物」なので、
これを縮めて【有機農作物】というわけです。
農作物が”オーガニック”なわけじゃ~ございません。
そもそも、”オーガニック”じゃない野菜なんか存在しない。
野菜は全て”有機物”だからです。

こうした中、有機農業を信奉する貴公子が登場します。
1989年、彼は自分の所領で有機農業を実践すると宣言します。
収穫された農作物を販売する会社も立ち上げました。
それが、 Duchy Originals ――
duchy とは「公爵領」を意味し、
original(s) は「本物」を意味します。
つまり、
ここで販売するものは偽物(fake)じゃないよという自負を込めたわけです。

こうして、”オーガニック”の拡大解釈が始まった。
organic に「本質的」、あるいは「根本的」という用法もあったことから、
いつの間にか、「本物」を意味するようになったんでしょう。
それでは、自然物と人工物を比較した場合はどうか?
もともと自然界にある物こそが「本物」であり、
これを真似て人工的に合成されたものは「偽物」である――
こういう発想に至るであろうことは容易に想像がつきます。
その結果、「自然」とか「天然」を意味する言葉と勘違いされるようになった……
なにせ、その貴公子の影響力は絶大だった!!!
そのお方こそ、イギリスのチャールズ皇太子殿下でございます。

duchy-originals
Duchy Originals のロゴ。
王冠はイギリス王家を象徴する聖エドワード王冠。
その下には、コーンウォール公爵を象徴する15枚のベザント金貨を配します。
イギリスの王位継承者は、コーンウォール公爵を与えられるのが慣わしです。


でも失礼を承知で、敢えて申し上げます。
”オーガニック”だけが「本物」であるという主張には、
いささか論理の飛躍がないでしょうか?
例えば、有機野菜。
これを「本物の野菜」と断じる科学的根拠はございません。
そう評価するかどうかは、あくまでも個人の価値観の問題です。

もちろん、手間隙をかけて栽培されているのはわかりますし、
高いお金を払ってまで敢えて買い求めるのは個人の自由。
それをとやかく言う積もりはございません。
だからといって、
それを食べなければ健康を害す――なんてことを言い出して、
他人にまで価値観を強制するのは行き過ぎではないでしょうか?

シュタールの生気論には、
自然を過信し、人間の作為を見下す差別意識が含まれていました。
それと全く同じ発想が、
昨今の”オーガニック”にも潜んでいるように感じられます。

まとめましょう。
organic の本来の意味は「有機」、あるいは「有機物」ということです。
これを「自然」とか「天然」という意味で使用するのは、
どう考えてもおかしい……
その場合には、ナチュラル(natural) っていうべきだと思います。



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