世界でたった一つしかないあなただけの家  FPだからできる夢の大空間

  「FPの家」槻岡建設のナビゲーター   トップページ > スポンサー広告> 住まいの医学 > 自然治癒力の源-ミトコンドリアの起源-  

スポンサーサイト

-- - --/-- [--] - --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

自然治癒力の源-ミトコンドリアの起源-

2010 - 08/31 [Tue] - 15:47

気づいたら、8月ももう終わりです。
暑い日が続いておりますが、みなさま恙なくお過ごしでしょうか?
ブログの更新がなかなかはかどりません。 (=_=)
ハードな仕事に身体が悲鳴をあげ、
おまけに先週と今週は土曜日が出勤でした。
この猛暑の中、中年にはこたえます。

ところで、先日、興味深い記事を目にしました。
日本学術会議がホメオパシーに関する会長談話を発表したというのです。
このブログでも一言触れたばかりですが、
遠慮して、私は”穏便な批判”に留めておきました。
ところがこの会長談話では、
ホメオパシーを荒唐無稽なニセ科学と断じて一刀両断に切り捨てています。

  ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています。
  それを「効果がある」と称して治療に使用することは厳に慎むべき行為です。


日本学術会議とは内閣府の特別機関の一つで、
全国の科学者の代表によって構成され、
科学に関する重要事項を審議して政策提言などを行っています。
いわば科学者の代表機関といっても良いわけで、
こういう組織がホメオパシーを批判するのはとても良いことです。

日本学術会議の会長談話を受け、
厚生労働省はホメオパシーや統合医療の研究に乗り出すと発表しました。
日本医師会も賛同のコメントを発表し、
医療現場から排除するよう周知徹底する方針を示しました。

最新科学は、庶民にとっては難解です。
高度に専門化し、一般人には近寄りがたいものになってしまいました。
それに比べてニセ科学は平易で、
庶民にも受け入れやすいという特徴を持っています。
折りしも現代文明への批判から、自然回帰志向の強い方が増えている。
家を建てるときにも自然素材を重視するような、
”ちょっと知的な方々”がニセ科学にはまりやすいようです。

ちなみに。
ホメオパシーをはじめとする代替医療では、
自然治癒力(spontaneous cure)を高めることで病気が癒ると主張します。
確かに、私も自然治癒力のようなものが存在するとは思いますが、
問題はその方法論でしょう。
理に叶った科学的な方法でなければ、
高めるどころか自然治癒力を削ぐことになりかねません。

加えて、その限界もわきまえるべきです。
もし自然治癒力が万能なら、
昔の人ほど健康で死亡率も低かったはず……
しかし、そんなことはどう考えてもあり得ない!!!
身体の調子がおかしいときには、
病院できちんと診察していただく方が賢明です。

自然治癒力を高めるということは、
治療よりも予防と結び付けて考えるべきでしょう。
では、これを高めるにはどうしたら良いのか?
それこそが生体エネルギーの問題であり、
これを生み出す”場”がミトコンドリアに他なりません。

というわけで。
今日はミトコンドリア(mitochondria)のお話しです。
最初に簡単なプロフィールを紹介しましょう。
名前の由来はギリシア語で、
「糸」を意味する【mitos】と「粒」を意味する【khondrion】を足した造語です。
日本語では『糸粒体』と訳されます。
ただし今日では、そのまま”ミトコンドリア”と呼ぶのが一般的です。

■ ミトコンドリアは何色?

理由はよくわかりませんが、
ミトコンドリアを緑色にイメージする方が多いようです。
「葉緑体」と混同しているのか、
あるいは、トコンドリアに「ミドリ」の文字が隠れているせいでしょうか?

確かに緑色のケースもなくはないそうですが、
通常は赤茶色をしているケースが多いようです。
これは酸化還元に関わる酵素の活性中心に鉄を含んでいるからで、
要は、鉄が錆びたような色をしています。

■ ミトコンドリアは何個ある?

一つの細胞に、ミトコンドリアは1個――
そう勘違いしている方も少なくないようです。
恐らく、細胞核と混同しているんでしょう。

実際には、一つの細胞に、
平均して数百~数千個のミトコンドリアが含まれています。
模式図などではわかりやすいように描かれていますが、
本当はぎゅうぎゅうに押し詰められているわけ。

細胞質の40%はミトコンドリアで占められるといわれ、
成人の身体全体では、
ナンと1兆個の1万倍ミトコンドリアを有するそうです。
驚くなかれ、その総重量は体重の10%を占める!!!
体重60kgの成人なら、重さ6kgの”エンジン”を搭載しているようなもの。

■ ミトコンドリアはどこから来た?

ミトコンドリアは非常にアクティブな細胞小器官(organelle)です。
細胞質中でダイナミックに活動し、
細胞分裂とは関係なく、
常に融合や分裂を繰り返してその形態を大きく変化させます。
そうです!!!
あたかもそれ自体が”生命体”であるかのような挙動を示すわけ。
”生命体”であることを伺わせる証拠はまだある――
ミトコンドリアは独自のDNAを持っているんです。

ミトコンドリアDNA(mtDNA)は、核DNAとは違う特徴を持っています。
なんといっても大きな違いは、母性遺伝するという点です。
父親由来の mtDNA は何らかのメカニズムで消去され、
卵子の持つ母親由来の mtDNA だけが残されます。
一見すると不思議な現象ですが、
ミトコンドリアの特徴を考えれば納得できはず。

細胞内に含まれるミトコンドリアの数は細胞ごとに違います。
卵子には10万個ものミトコンドリアが含まれていますが、
精子にはたった100ヶ程度しかございません。
卵子までたどり着けば良い精子と、
細胞分裂を繰り返して成長していく卵子の違いでしょう。
卵子には圧倒的にミトコンドリアが多いのです。

これだけ差があると、1対1の交換は成立しません。
同じ細胞の中に父親と母親の mtDNA を受け継いだものと、
母親だけの mtDNA を受け継いだものが、
ごちゃ混ぜになっているのはとっても都合が悪いでしょ?
それならいっそのこと、
父親は無視して母親の mtDNA に統一した方が良い。
こと mtDNA という点からは、
子供からみて父親は”赤の他人”に過ぎないのです。 (T_T)

では、mtDNA は何の”設計図”なのか?
mtDNA も二重らせん構造をしていますが、
核DNAがひも状なのに対して mtDNA は環状です。
しかも、それがコードするタンパク質の数は数えるほどしかございません。
ただし数は少なくとも、
エネルギー生産に関わる重要なタンパク質をコードしています。
まさに、mtDNA がエネルギー生産の鍵を握っている!!!

図をクリックすると拡大します
mitochondria-4

図の説明をしておきましょう。
生体エネルギーである ATP 呼吸鎖で合成されます。
呼吸鎖は複合体Ⅰ~Ⅴによって構成されますが、
複合体Ⅰ~Ⅳはまとめて電子伝達系と呼ばれ、
最後の複合体ⅤがATP合成酵素となるわけです。

一例として、複合体Ⅰにご注目ください。
複合体Ⅰの核心はNADH脱水素酵素ですが、
【43】のサブユニット(パーツ)からなるタンパク質の巨大な複合体です。
その内36ヶのサブユニットが核DNAにコードされていて、
残りの7ヶが mtDNA にコードされています。

複合体Ⅱだけは全て核DNA由来ですが、
複合体Ⅲのシトクロムbや複合体Ⅳのシトクロムc酸化酵素、
さらに複合体ⅤのATP合成酵素は mtDNA がないと機能しません。
まさに、ミトコンドリアはエネルギー生産のスペシャリストなのです。

ここで大きな疑問が生じます。
一つの生命は、一種類のDNAによって支配されます。
複数のDNAが存在する場合はキメラ(chimera)と呼ばれ、
高等動物でキメラを作ることは原則的にできません。
免疫による拒絶反応を起こすからです。
しかしミトコンドリアは独自のDNAを有しており、
本来は別の”生命体”であったことを物語るのではないか?
こうした発想から生まれたのが共生説というもので、
1970年、マーグリス(Margulis)によって初めて主張されました。
ちなみに。
彼女は有名な天文学者、カール・セーガンの最初の奥さんでもあります。

しかし、あまりにも奇抜で大胆な仮説でした。
そのため発表当時は見向きもされませんでしたが、
その後のDNA解析技術の進歩により、
今日では、共生(symbiosis)はほぼ確かなことと考えられています。

図をクリックすると拡大します
mitochondria-5

では、どうして共生が行われたんでしょうか?
マーグリスの説は、簡単にいえば、食う-食われる の関係です。
そこで、捕食説とも呼ばれています。
地球が誕生したのが46億年前のこと。
最初の生命が誕生したのは40億年前ですが、
当時の地球には酸素(O2)がほとんど存在しなかった。
生命は嫌気的生命体だったわけです。

ところが27億年ほど前に、光合成をする真正細菌が出現します。
その代表がシアノバクテリア(藍藻)で、
海中の酸素濃度は次第に上昇し、ついには大気中に吹き出し始めた!!!
こうした環境の激変に適応して好気性バクテリアが出現し、
その中にαプロテオバクテリアの仲間がおりました。
このαプロテオバクテリアこそ、今日のミトコンドリアの原型となる”生命体”です。
ミトコンドリアと同じTCA回路や電子伝達系を有し、
好気呼吸によって ATP を合成します。

一方、それまで地球を席巻した嫌気性生物は追い詰められていくばかり。
そこである古細菌はαプロテオバクテリアを捕食し、
それを細胞内に生かしておく離れ業を演じます。
こうして他人のエネルギーを横取りし、
あわせて新しい酸素環境に適応した真核生物が20億年前に出現する――
これが捕食説というものです。

ただし、この説には矛盾点も多い。
果たして、捕食者に供給できるほど余分なエネルギーを生産していたのか?
そんな無駄なことを生命がするわけはなく、
それなら消化吸収した方が手っ取り早いはず。
そもそも、好気的生物と嫌気的生物は住む環境が違うのであり、
両者が接触する機会はあり得ません。

ところがところが、
真核生物の中にも嫌気呼吸をするものがいることが発見された!!!
ある種の真菌(カビ)は、
環境の酸素濃度に応じて好気呼吸と嫌気呼吸を使い分けるのです。
そしてさらに酸素濃度が下がると、
エネルギー生産を呼吸から発酵に切り替えて様々な環境に適応します。

ちょっとややこしくなってきましたか?
ここで言葉の整理をしておきましょう。
人間の呼吸(内呼吸)には酸素(O2)が必要ですが、
それは電子伝達系の最終電子受容体に酸素(O2)を利用するからです。
これを【好気呼吸】といいます。
でも、酸素(O2)じゃないといけないのか?
決してそういうわけではなく、
酸素(O2)以外の化学種を最終電子受容体に利用したってOKです。
その場合が【嫌気呼吸】となり、
硝酸(NO3)を利用する硝酸呼吸などが知られています。
重要なのは酸素(O2)ではなく、むしろ水素(H2)なんです。
もっと厳密にいえば、プロトン(H)と電子(e)が呼吸の”主役”です。

ATP が生体のエネルギー通貨であることは比較的早くからわかっていましたが、
どのようなメカニズムで生成されるかは不明でした。
そのような中、1961年、イギリスの生物学者ピーター・ミッチェル(Peter Mitchell)が、
ATP 合成に関する画期的な仮説を提唱しました。
それが電気化学勾配仮説(化学浸透圧説)というものです。

図をクリックすると拡大します
mitochondria-6

彼はミトコンドリア内膜を挟んだプロトン(H)の不均質性こそが重要だと考えました。
その結果、濃度勾配と電位勾配が生じます。
ミトコンドリア内部のマトリックス(Matrix)はpH8の弱アルカリ性で、
外部の膜間スペースはpH7の中性です。
実に10倍もの濃度差があるんです。
そればかりではありません。
プロトン(H)が少ないマトリックスは「負」に帯電しており、
多い膜間スペースは「正」の電荷を持っています。

こうした濃度差や電位差により、
プロトン(H)は膜間スペースからマトリックスに流れ込みます。
このプロトン駆動力(proton-motive force)を利用して、
ATP を合成するのが呼吸の本質である――
彼はそう考えたわけ。

それから10年以上も経って、
プロトン駆動力を用いる ATP合成酵素(複合体Ⅴ)の存在が明らかにされました。
彼の仮説が正しかったことが証明されたんです。
この小さな”生体モーター”が実際に回転する様が確認されたのは、
さらに下って1997年のこと。
人間を含めた真核生物の”生命力”が生み出されるメカニズムは、
今ようやく明らかにされつつあります。
ヒトゲノムの全解読が完了した今日、
生命科学の最先端は核DNAから mtDNA
さらにATP合成の研究に移っていくような気がします。

話を元に戻しましょう。
呼吸には水素が必要不可欠ですが、いったいどこから手に入れるんでしょうか?
それがTCA回路(クエン酸回路・クレブス回路)の役割です。

図をクリックすると拡大します
mitochondria-7

TCA回路では、脱水素反応によって16ヶもの水素が発生します。
これが 解糖系やピルビン酸の脱水素で生じた水素とあわされ、
NADH FADH2 という形で運ばれます。
その行き先はミトコンドリア内膜の電子伝達系――
電子伝達系では電子(e)のエネルギーを利用して、
プロトン(H)をマトリックスから膜間スペースに汲み出し,
それによってプロトン駆動力を生成するのです。
このとき、酸素や硝酸などの化学種が、
最終的に電子(e)を受けとるというわけ。
電子(e)が増える反応ですから、これを「酸化」といいます。

お次は、電子伝達系と連動(coupling)したATP合成酵素の出番です。
ここでは ADP にリン酸(Pi)が結合されて ATP が産生される。
つまり「リン酸化」されます。
そこで一連の反応は酸化的リン酸化と呼ばれ、
呼吸とは酸化的リン酸化である――
一言でいえば、そういって宜しいわけです。

ところが、無酸素に近い状態になると酸化的リン酸化が機能しません。
こうした状況でもエネルギーを生産できるのが解糖系で、
これが発酵というものです。
この発酵を【嫌気呼吸】に含めることもありますが、
厳密には正しくありません。
【呼吸】と【発酵】では ATP を合成するメカニズムが異なるんです。

さて、ミトコンドリアの祖先となったαプロテオバクテリア――
酸素濃度が極端に低い場合には、
発酵によってエネルギーを生産したと考えられています。
地球の酸素濃度は長い歳月をかけて上昇したわけですから、
そう考える方が自然でしょう。
嫌気性生物が、一気に完全な好気性生物には進化しないのです。

そこで、発酵というエネルギー生産を見てみましょう。
こちらでも脱水素反応によって水素が生成されますが、
これが利用されることはなく、
むしろ細胞に有害な作用をもたらします。
そこで水素ガス(H2)として排泄される。
これに目をつけたのが水素を利用するメタン菌で、
メタン菌の取り込んだ水素排出性細菌がミトコンドリアの起源――
これが捕食説に代わる最新の水素説と呼ばれるものです。

ただし、水素説もパーフェクトではないみたい。
捕食説にも言えることなんですが、
宿主細胞となった古細菌にはメリットはあっても、
取り込まれたミトコンドリアの祖先は悲惨です。
利用されるだけで、これでは共生者というより奴隷に近い…… (+_+)
”他人”のために、何十億年もエネルギーを貢ぎ続けてきたというのでしょうか?
しかも、真核生物の元になった古細菌はメタン菌ではなく、
むしろ好熱菌のようなタイプらしいこともわかってきました。

そこで、こんな風には考えられないでしょうか。
あくまでも、私の勝手な想像です。その点、ご了承を……
ミトコンドリアの祖先が呼吸を始めた頃、
太古の海のpHは6.7程度だったと考えられています。
この点が重要です。
これなら細胞内のpHを8にしてやれば、
十分なプロトン駆動力が生まれます。
忘れないで頂きたいのですが、
共生する前には、細胞膜を1枚隔てた外側は海水だったということです。

ところが、海水の酸素濃度が上昇し始めます。
反対に二酸化炭素濃度は低下するので海のpHは高くなる――
つまり、アルカリ化が進んだわけ。
そして約20億年前には、
現在と同じpH8.2程度になったと考えられています。

こうした”環境破壊”が、ミトコンドリアの祖先を危機に陥れます。
もうおわかりでしょう。
細胞の中がpH8、細胞の外もpH8では、
プロトン駆動力が生じないんです!!!
酸素濃度の上昇は、
実は呼吸というエネルギー生産には不都合な事態だった……

図をクリックすると拡大します
mitochondria-8

そこでミトコンドリアの祖先が目をつけたのが、
古細菌の”体内”だったのではないか?
そのpHは5~7の弱酸性から中性で、
これならプロトン駆動力を確保できます。
しかも酸素(O2)を最終電子受容体に用いれば、
桁違いのエネルギーを手に入れることができる!!!
こうして真核生物は、
完全な好気呼吸生物(絶対好気性生物)に進化したというわけです。

【後補】
ミトコンドリアは二重の膜に包まれていますが、
内膜はミトコンドリア由来で、プロトン(H)を通しません。
一方、外膜は宿主細胞由来で、プロトン(H)が自由に通過できます。
そのため、膜間スペースと細胞質基質のプロトン(H)の濃度は等しくなります。


一方、古細菌の側にもメリットがあったはずです。
脱水素酵素は酸素に弱く、
酸素濃度の上昇は嫌気的発酵にとっても危機でした。
酸素に強いミトコンドリアの祖先とタッグを組めば、
より高い抗酸化能を手に入れることができます。
しかも、今までは捨ててきた水素を、
エネルギー生産に回すこともできちゃう。
まさに、理想的な「Win-Win」の関係でございます。
念のために繰り返しますが、あくまでも私の勝手な想像です……

そろそろ、まとめましょう。
プロトン駆動力が円滑に発揮されるには、
適度な酸素、そして栄養(グルコースや脂肪)が必要不可欠です。
これを全身に補給するのが、
総延長が地球を2周半もする長大な血管網に他なりません。
動脈硬化はもちろんのこと、
貧血や低血圧ももっと重大視する必要があるのではないでしょうか?
血管や血流は、エネルギー生産を支える”ライフライン”なんです。

しかも酸素供給が不足すると、
ミトコンドリアには過大な負荷がかかります。
複合体Ⅳが上手く機能せず、行き場を失った電子(e)が、
複合体Ⅲの段階で大量の活性酸素(ROS)を発生させちゃう。 (>_<)
いわば、”不完全燃焼”を起こすようなもんだとお考え下さい。
活性酸素は核DNAを損傷するといわれていますが、
膜で厳重に保護された核DNAに比べて、
mtDNA は”裸のまま”で活性酸素に曝されています。
よほど突然変異を起こすリスクが高く、
その発生頻度は核DNAの5~10倍になるそうです。

加えて、mtDNA の数はとてつもなく膨大。
一つの細胞に2copyの核DNA(2倍体)と比較して、
一つのミトコンドリアは5~6copyもの mtDNA を有しています。
一つの細胞に含まれるミトコンドリアが1000ヶとした場合、
一つの細胞にナンと5000~6000copyもの mtDNA がある計算になる。
その分、突然変異を生じる確率も高くなるでしょ?

もちろん、酸素を利用するからには、
それに相応しい抗酸化システムを有しています。
中でも、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は、
電子伝達系の近傍に集中的に局在している。
しかし、真綿で首を締め付けるように、
じわじわとダメージが進行していくでしょう。

ミトコンドリアは時間と共に元気をなくしていき、
ついには修復機能が上手く作動しなくなる。
これが老化(aging)という現象であり、
好気呼吸を行う生物の悲しい宿命……
100歳を超えて元気に生きられる方が、
そうそういらっしゃるものではございません。
不老不死は呼吸という自然の摂理に反するのです。

ただし、老化と年齢は必ずしも相関しない――
私はそう考えています。
ミトコンドリアに元々不具合があったりメンテナンスが悪ければ、
年齢以上に”老化”が早まるのではないでしょうか?
あるいは、ミトコンドリアの絶対数が少ない方もいるに違いない。
そのような方は疲れやすく、意欲も沸いて来ないはずです。
免疫力が低下するので、様々な病気にも罹りやすくなるでしょう。
化学物質過敏症(MCS)もこうした”病気”の一種であり、
体内のエネルギー生産が低下している――
これが現在の私がたどり着いた結論です。

これをわかりやすい言葉で表現すれば、
自然治癒力の低下、あるいは、生命力の低下といって差し支えありません。
しかし”病気”を治癒するのに、
間違っても代替医療に依存しちゃいけない!!!
苦しみ悩んでいる方ほどニセ科学に魅せられやすいものですが、
冷静な科学的思考を失うことが最も危ういことなのです。

最後に。
自然回帰の流れが強まる中、
近年、アウトドアがブームとなっているようです。
登山や山歩きが中高年や女性に人気らしい……
でも、自然を甘く見ると手痛いしっぺ返しを受けることになります。
”自然”の中にお出かけの際には、
くれぐれも肌を露出させないようご注意ください。
というのも、リケッチア症(Richettsia)の危険があるからです。

リケッチアは病原性細菌の一種(グラム陰性菌)で、
ダニやシラミなどの節足動物を媒介にして感染します。
世界的に有名なのはコロモジラミを媒介とする発疹チフスですが、
日本によく見られるものとしては、
マダニを媒介とする日本紅斑熱や【恙虫】を媒介とするつつが虫病が知られています。

つつが虫とはケダニの一種ですが、本来は想像上の虫を指していました。
【恙】は【憂】に通じ、転じて「災い、病気」を指します。
そこで挨拶の言葉として用いられる、
恙なくお過ごしでしょうか――という言葉は、
「病気もせず、お元気にお過ごしでしょうか」という意味になります。

ところが古来より、
人を死に至らしめる恐ろしい病のあることが知られていました。
虫に刺された指し口があることから、
古人は病気をもたらす”疫病虫”の仕業と考えたんでしょう。
そこで、これを【恙虫】と呼んだのです。

  恙は人を刺す虫である。
  心の臓を咬むこともできるので、
  人は常にこれに苦しめられている。


2世紀に著された中国の『風俗通儀』という書物には、
こんな風に紹介されております。
「心の臓を咬む」という記述があることから、
死に至ることも多かったことを伺わせます。
今日、この病の正体はリケッチアであろうと考えられています。
そこで――
この病気を媒介するダニが【恙虫】と命名されたわけ。

リケッチア症に共通する症状は39~40℃にも達する高熱と、
この熱を逃すために毛細血管が拡張して起こる紅斑状の発疹です。
激しい頭痛や悪寒を伴い、
重症化すると血管の激しい炎症反応を誘発します。
これが原因で多発的な血栓を生じ、
血小板や凝固因子が枯渇すると敗血症のような出血傾向に転じます。
こうして多臓器不全や脳出血を起こし、
肺炎・肝障害・髄膜炎などを併発する。
そして最悪の場合には――、死に至ります。

これは決して遠い昔のお話ではございません。
”自然”の中には危険がいっぱい潜んでいるんです。

ところで。
リケッチアは宿主の血管内皮の細胞内で増殖します。
細胞外ではたちまち死んでしまい、
単独では生きていけない細胞内寄生菌です。
そして、αプロテオバクテリアに属す!!!
実はDNA解析の結果、ミトコンドリアとの近似性が指摘されているのです。
ミトコンドリアの祖先はリケッチアのようなαプロテオバクテリア――
今日では、これが定説となっています。

そこで、こんなドラマが繰り広げられたのかも……
酸素濃度の上昇で危機に追い込まれたαプロテオバクテリアは、
生き残りをかけて他の細胞内への侵入を試みます。
受動的に食べられたのではなく、
自らが進んで能動的に寄生(parasite)したのではないでしょうか。
そうしなければ、
呼吸というエネルギー生産システムを維持できなかったからです。

しかし、寄生された宿主はたまったものではない。
激しい高熱で死に絶えてしまいます。
ところが、好熱菌は違った!!!
”熱を好む”古細菌ですから、40℃くらいではビクともしません。
こうして、異なる生命体の共生が始まった……

このような進化は、
生命の長い歴史の中でもたった一度だけの出来事でした。
まさに、奇跡的な出来事だったんです。
誕生した真核生物は、素晴らしい可能性を秘めた【hopeful monster】でした。
ここから真菌類や原生生物、さらには動物や植物が誕生したのです。

このような生物多様性が実現されたのも、
真核生物がミトコンドリアを手に入れ、
潤沢なエネルギーを利用することができるようになったからに違いありません。
生命はエネルギーによって駆動される――
それなのに。
エネルギー生産を支える複雑なネットワークのどこかに問題が生じれば、
検査では”異常なし”でもなんとなく元気が出ない……
当事者はとっても辛く、病気のような状態になってしまうのです。



猫マーク ブログランキングに参加しています。
 ポチッとしていただければ感謝です。

 人気ブログランキングバナーにほんブログ村 猫ブログ ノルウェージャンフォレストキャットへ


■ 過去の記事を検索する方法のお知らせ

『月別アーカイブ』、もしくは『カテゴリー』をクリックすると、
最初に一覧が表示されるように改造しました。
タイトルをクリックすると、該当する記事に移動します。
これまで書いた過去の一覧を見たい方は、
『全記事表示』をご利用下さい。

読みやすいブログになるよう、
これからも少しづつ手を加えていきます。

スポンサーサイト

ホメオパシーを調べていてやってきたのですが、非常に興味深く読ませてもらいました!
ありがとうございます。
昔見た「パラサイト・イヴ」という映画にもミトコンドリアの説明があったのを思い出しました。

はじめまして

コメントを頂戴しありがとうございます。

このブログの狙いは、
健康な暮らしを科学的に考えたいということなので、
お役に立ててとても嬉しいです。

「パラサイト・イヴ」の著者は薬学部の出身です。
細胞内共生説やミトコンドリア・イヴなどの科学知識が、
物語の下敷きになっているようですね。

コメントの投稿





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://fptsukioka555.blog86.fc2.com/tb.php/332-40127a76

-

管理人の承認後に表示されます

 | HOME | 

プロフィール

fp-tsukioka

Author:fp-tsukioka
群馬県の「FPの家」施工会社
店舗・工場・公共工事の施工もします

カレンダー

01 | 2017/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -

最新記事

全記事表示

月別アーカイブ

カテゴリ

最新コメント

最新トラックバック

いらっしゃいませ

検索フォーム

リンク

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。